金融庁、金融機関へ返済猶予を要請 新型コロナ感染拡大を受け

2020年3月8日 07:55

 金融庁は6日、新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた事業者の資金繰り支援に関し、麻生太郎財務・金融相の談話を公表した。民間金融機関に対し返済猶予を含む融資条件の変更を求める内容で、リーマン・ショック後に成立した「中小企業金融円滑化法」を実質的に復活させるもの。合わせて、2019年3月より休止していた「貸付条件の変更実施状況の報告」を再開させ金融機関によるリスケを促す。

 金融庁は9日より、各民間金融機関に対し融資先への対応状況などの報告を要請する。

 中国発・新型コロナウイルスの感染者は中国で8万人以上、韓国で7千人以上が報告されているほか、イタリア、イラン、米国など世界中で拡大している。

 国内でも事業活動への影響が広がりつつあり、特に観光業や小売業においては、売上の大幅な落ち込みが懸念されている。このほか、アップルの売上予想ダウンに伴い半導体や電子部品関連企業の受注減は不可避と言え、また、多くの日系企業は暫く中国等への出張を禁止するなど、幅広い業種の企業で影響が出ている。

 事業者において資金繰りへの不安が広がる中、2月7日には、官民の金融機関に対し、配慮要請が実施されていた。また、日本政策金融公庫等においては、2月13日に緊急融資・保証枠として5,000億円を確保する等の措置が取られた。今回金融庁は、さらなる資金繰り支援を要請する内容の大臣談話を公表した。

 今回公表された談話の中で注目を集めているのは、金融庁が民間金融機関へ「元本・金利を含めた返済猶予などの条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること」を要請している点。また、「金融庁から民間金融機関に対して条件変更等の取組状況(金融円滑化法と同様に「貸付の条件変更等の申込み数」、「うち、条件変更を実行した数」、「うち、謝絶した数」等)の報告を求め、その状況を公表」するとした点だ。

 これはリーマン・ショック後に成立した「中小企業金融円滑化法」(別称「モラトリアム法」)を約7年ぶりに復活させ、合わせて同制度の終了後も2019年まで継続して行われていた「貸付条件の変更実施状況の報告」を再開させることを意味する。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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