2月の景況感、全業種・地域で悪化 帝国データバンク調査
2020年3月6日 07:51
帝国データバンクが2月の景気動向調査を発表し、中国発となる感染症の影響などにより全ての業種や地域で悪化となるなど、景気が大きく後退局面に入っていることが分かった。
【前月は】1月の景況感、4カ月連続で悪化 海外動向や暖冬で 帝国データバンク調査
■7年ぶりの40割れ
4日、帝国データバンクが2月の景気動向調査を発表した。2月の景気DI(動向指数)は38.7で1月の41.9から3.2ポイント減となり、19年10月から5カ月連続で悪化するとともに、13年2月の39.8以来、7年ぶりに40を下回った。
大きく下がった原因として、新型コロナウィスル感染症により輸出入関連や訪日客の減少、各種イベントの自粛、外出の手控えがあるとともに、暖冬傾向、消費税増税、世界的な株価下落も下押し要因となった。
■旅行客や外出の減少でサービスが悪化
業態別DIは全ての業態で前月より悪化した。特に悪化幅の大きかった業態として、不動産が42.0(前月比:3.9ポイント減、以下同じ)、卸売が34.4(3.5ポイント減)、運輸・倉庫が34.0(5.5ポイント減)、サービスが45.1(4.4ポイント減)、その他が39.2(3.5ポイント減)。
新型コロナウイルス感染症により、旅行客や輸出入の減少などが要因の運輸・倉庫は1年前から14.3ポイントの悪化となり、「急速に悪化」と表現している。同様にサービスも宿泊客の減少や外出の手控えが影響した。
反対に比較的悪化幅の少なかった業態は、農・林・水産が37.9(0.5ポイント減)、金融が42.2(2.6ポイント減)、建設が47.8(2.2ポイント減)、製造が34.9(2.7ポイント減)、小売が34.1(2.2ポイント減)など。
■全ての地域で前月から悪化
規模別では大企業が42.0(前月比3.3ポイント減、以下同じ)、中小企業が38.0(3.1ポイント減)、小規模企業が38.8(2.6ポイント減)となり、5カ月連続で全ての規模で悪化となった。
また地域別DIも全ての地域で悪化し、特にマイナス幅の大きい地域としては、北海道が39.0(3.4ポイント減)、南関東が41.1(3.4ポイント減)、東海が37.3(3.3ポイント減)、近畿が36.3(3.5ポイント減)、四国が39.5(3.2ポイント減)、九州が41.5(3.7ポイント減)。
南関東は、特に東京の悪化幅が大きく港湾施設の休止や旅館・ホテルなどサービスが大きく悪化。九州はこれまで観光業がけん引していた沖縄が大きく悪化した。
一方で、東北が36.7(2.1ポイント減)、北関東が36.9(2.5ポイント減)、北陸が35.6(2.0ポイント減)、中国が39.0(2.2ポイント減)と悪化幅が小さ目だった。
■見通しは「緩やかな後退続く」
今後の見通しについて、3月の景気DIは37.3で2月から1.4ポイント減、半年後の8月は36.5、1年後の21年2月は34.3を予測している。東京オリンピックなどもあり6月の36.2から2カ月連続で微増となるものの、概ね右肩下がりになると見ている。
オリンピックとともに5G(第5世代移動通信システム)の本格化とシリコンサイクルの好転などが好材料となる一方、悪材料では、感染症の広がり具合、アメリカと中国の貿易摩擦、中東情勢、消費者ポイント還元事業終了後の消費動向、人手不足などの企業コスト増があげられている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)