中国語の精髄、「成語」を学ぶメリットと学習方法

2020年3月5日 12:31

 中国語の成語は、教訓や物の道理などを4つ以上の漢字で表したもので(多くは4つの漢字)、中国の史書や仏法、物語に由来する。弱肉強食、誠心誠意のように日本でそのまま四字熟語として使用されている成語も多い。

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 中国語の成語は日本語の四字熟語より頻繁に用いられ、日常会話やスピーチ、ドラマ、映画の中でもよく使われている。成語を的確に使えることができれば、深く大きな意味を簡潔にまとめることができて、より趣のある会話が楽しめる。

 提携会社との会食や地元政府との会談といったビジネスシーンで取り入れれば、中国語や中国文化に造詣の深い中国通であると評価され、その場の空気が和み、関係構築にも有利に働くだろう。

 また、HSK(汉语水平考试)や中国語検定でも中級以上を目指すのであれば、成語を習得することが不可欠だ。だが成語は、とにかく数が多い。中国成語大辞典には、2~3万もの成語が収録されている。

 中国では小学生から成語を学ぶ。私たちが今から同じ数の成語を習得するというのは現実的な目標ではない。それに、やみくもにたくさん覚えたところで、一生お目にかからない成語ばかりという可能性もある。

 そこで今回は、自分が学ぶべき成語をどのようにチョイスして如何にして覚えるか、その具体的な方法を紹介したい。

■自分にとって重要な成語をリストアップし、自分だけの成語ノートを作成しよう

 日本でも成語学習に関する参考書は多い。こうした参考書の多くは、100~300前後の使用頻度の高い成語を紹介している。しかし、紹介されている成語は全ての学習者にとって重要とは限らない。各自の学習目的、中国語を使用する場面、年齢、職業などによって、それぞれ必要な成語が異なるからだ。

 そこで、効果的な成語学習方法として最初に挙げたいのが、自分がよく使う成語をピックアップして自分だけの成語ノートを作成し、覚える方法だ。

 まずは、場面に即して適切に使用できる成語100程度、正しく聞き取り正確に意味を理解する成語300前後を覚えることを当面の学習目標としよう。単語と違い100の成語を暗記するのは、簡単なことではない。そこで、成語をどのように選び暗記していくか紹介しよう。

■成語を選定する方法

 (1)自分にとって重要な成語をピックアップする最も効率の良い方法は、自分がよく見るドラマやニュース、報道番組、新聞、雑誌で使われている成語を、成語ノートに記入していく方法だ。自分がよく見るテレビ番組や雑誌から集めた成語であれば、自分にとって重要度の高い成語である可能性が高い。

 成語ノートには、成語、拼音、意味のほかに実際に使われていたフレーズを例文(実際に話されていたフレーズ)として記しておこう。成語の4文字全て聞き取れなかった場合、聞き取れた漢字1文字から、該当するいくつかの成語候補を検索できる成語ネット辞書があるので、活用しよう。

 成语大全911查询
https://chengyu.911cha.com/

 トップページで高級捜索を選択し、字数不限を四字成語に変えて検索すると、該当するいくつかの候補が表示される。

 日本語の意味を調べる必要があれば、weblio等中国語オンライン辞書を活用しよう。
https://cjjc.weblio.jp/

 (2)自分がよく使う日本語の四字熟語で、中国語に該当の成語があるものをピックアップして成語ノートに加える方法。

 中国人研究者兪 鳴蒙氏が論文「日中四字熟語・成語に関する調査研究」の中で、中国の成語を日本語の四字熟語と対照しながら学習した方が効率的と指摘している。

 兪氏は、日本で使用頻度の高い四字熟語を、中国語有無とその類別(成語・成語以外)、形式・意味の異同、レベル差といったことに基づいていくつかのグループに分けて紹介している。下記の成語は氏が同意語で使用頻度が高いとしたグループの成語(四字熟語)である。

 一石二鳥、半信半疑、自給自足、誠心誠意 、自由自在、弱肉強食、有名無実、独断専行 、温故知新、単刀直入、一挙両得、百家争鳴、一衣帯水、空前絶後、意味深長、電光石火、大同小異、三位一体、富国強兵、急転直下、大器晩成、全知全能、再三再四、一挙一動、利害得失、金城湯池、直情径行

 Google Scholarで同論文が検索できるので、論文で紹介されているその他の四字熟語も調べて、自分がよく使う成語をピックアップして成語ノートに加えよう。

https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

 (3)慣用句から取り入れる。

 釈迦に説法、猿も木から落ちる、泣きっ面に蜂といった慣用表現で中国語の成語に対応する慣用句は少なくない。日頃使い慣れた慣用句を、日中辞典やオンライン辞書で調べて対応する成語があれば、成語ノートに書き加えよう。

https://translate.weblio.jp/chinese/

 自分が普段どんな慣用句を話しているか、すぐには思い浮かばない場合もある。そんな時はweblioの慣用句一覧で調べたい慣用句を選び、国語辞書のページで日中中日辞典を選択すると、中国語の意味または該当する成語を表示してくれる。

https://www.weblio.jp/phrase/慣用句_1

 (4)参考書や学習サイトから

 成語や通訳翻訳に関する参考書にも、使用頻度の高い成語が紹介されている。中でもぜひ参考にして欲しいのが、サイマル・アカデミーの塚本慶一氏による「中国語通訳への道」付録で紹介されている「通訳の現場でよく使われる慣用句集」100である。

 中国語を学ぶ日本人にとって重要な成語や慣用句が紹介されている。特に使用頻度が高いと思われる成語は下記の通りである。

 不远万里、重蹈覆辙、得天独厚、名列前茅、抛砖引玉、取长补短、入乡随俗、同甘共苦、一衣带水、与时俱进、纸上谈兵、坐收渔利、欲速则不达

 その他、中国語学習サイト、中国成語オンライン辞書などでも使用頻度の高い成語を紹介しているので、自分がよく目にする成語をみつけたら、成語ノートに加えよう。

 ・成语大全911查询 热门成语
https://chengyu.911cha.com/

 ・ユーウェン中国語口座 成語100選
https://yuwen.jp/common/idioms/a-g

 ・梓文社 中国語の四字熟語成語118個ダウンロード
https://www.shibunsha.com/09_zhongguo_ciyu/ciyu_01_chengyu.php

 成语秀(we media)
https://mp.weixin.qq.com/s/cC0rGnH1KqVwGk5l5K-_rQ

■まとめ

 成語は普通の単語に比べて覚えるのが難しいため、より一層の工夫・努力が必要だ。まずは正しい発音と正確な意味を理解しよう。そして、その成語を使用していたテレビや映画の場面や使われていた一文と一緒に覚えていくと記憶に残りやすい。

 毎日5~10分でいいので、成語学習の時間を作り、成語ノートに書き溜めておいた成語の意味を調べよう。大きな声で発音しながら何度も書いて覚えよう。毎日繰り返し復習テストを行い、間違えた成語は翌日またテストする。この繰り返しによって記憶が定着する。

 覚えた成語は会話やメールでどんどん使っていこう。成語は中国人でも読み方や使い方を間違える場合がある。失敗を恐れずに積極的に使おう。もし失敗しても恥ずかしいという記憶と共に忘れられない成語になるだろう。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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