JAL、無人ヘリコプターの目視外飛行で空港間の貨物輸送を実施 国内初

2020年2月29日 09:14

●無人ヘリコプターによる貨物輸送

 JALは25日、2月18日に無人ヘリコプターを用いて貨物輸送の実験を行い、無事に成功したと発表した。今回実験が行われたのは、長崎県の上五島空港および小値賀空港から九州本土の区間で、概ね30kmから50kmの距離で実施された。洋上の飛行では衛星通信による遠隔操作、陸上は現地での無線操縦が行われ、空港間を目視外飛行で輸送したのは国内初という。

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●ヘリコプターはヤマハ発製 最大積載量は35kg

 今回実験で利用されたヘリコプターは、ヤマハ発動機製の産業無人ヘリコプター「FANZA RG2」で、最高時速72km、後続可能時間は100分間。最大積載重量は35kgで、大型の荷物を運ぶことも可能。今回の実験では、医薬品を想定した模擬貨物や、離島から本土に戻る便では約20kgの鮮魚などを運んだ。

●離島物流に明るい兆し

 無人ヘリコプターが実用化されれば、離島に住む人々の生活が大きく変わる可能性がある。離島の物流は航空機や船舶に頼っているが、便数が少なく、貨物類は数少ない交通手段が命綱となっている。

 今回の実験では、島で朝に獲れた鮮魚をすぐにヘリコプターで九州本土に輸送、そこから航空機に乗せ換えて同日中の夕方には東京の小売店に届くという流れが可能であった。逆に医薬品を九州本土から離島に届ける実験も行い、緊急時の物資輸送に大きく役立つことが証明された。

●無人輸送手段の拡大

 JALではこれまでもドローンなど無人輸送機を使った実験を行ってきた。今回、ヘリコプターによる貨物輸送が可能になったことで、今後の環境整備によっては、さらに大型の無人輸送機が可能になると見込まれている。

 離島の住民にとっては、住民の命を守るための命綱の役割だけでなく、産業の活性化にもつながる。日本は離島が多く、長崎県や沖縄県では航空輸送のさらなる拡充が求められており、今回の実験は離島に住む人々の生活を大きく変える可能性も持つ。(記事:speedbird・記事一覧を見る

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