新型コロナ、日本企業の9割が生産・物流に支障 ベトナム等での代替生産
2020年2月28日 09:17
新コロナウィルスの感染拡大の影響で中国経済は混乱している。感染拡大を防ぐため地域的な交通の封鎖が行われ物流網が遮断されているために事業所の再開後も混乱が続きそうだ。日本企業の多くが中国国内に工場その他の事業所を持っているため日本経済への影響も甚大だ。資材調達など中国に頼っている企業も多く既に内需型企業にも影響が出てきている。
サプライチェーン・コンサルティング業の未来調達研究所が新型コロナウィルスの影響について日本企業1万2966社を対象に緊急アンケートを2月13日に実施し、サプライチェーン・物流・調達関連従業者から実務の実態を調査、18日にその結果を公表した。
調査結果によれば、新型コロナウィルスの生産・物流・調達への影響について、全体の69%が「問題あり」と回答、19%が「調査中」、12%が「問題なし」となっている。「調査中」と回答した企業のほとんどが中国からの納期遅延はあると回答しているため、これも「支障あり」でカウントすると日本企業の9割に当たる88%が生産・物流に「支障あり」と回答していることになり、新コロナウィルスによる中国経済の混乱は日本産業全体にマイナスの影響を及ぼしていることになる。
回答者のコメントを見ると「部品調達も難航中。省内の調達と比べ、省を越えると調達が苦戦。部品会社も再開したばかりで見通しは、まだ現地も見えていない」状況のようだ。
対応策としては、「国内あるいはベトナム等での代替生産」、「国内既存保有在庫の使用」、「代替品の検討」などとなっているが、金型使用のメーカーを中心に「手の打ちようがない」との回答も少なくない。金型が中国に存在する場合、それを日本や他国の代替地に運ぶことも同じ金型を作成することも短期間では困難だ。
具体的な影響は一次、二次の中国取引先の生産停止によるもののみならず担当窓口不在により情報確認ができず、状況把握さえ困難な状況のようだ。また、中国の各省から工場再稼働認可がなされないケースや最終出荷前の日本企業による同席検査できず停滞しているケースもある。
一次中国サプライヤが工場停止のため資金繰りが悪化し工員不足、二次へ注文不能という状態も発生しているようだ。また、代替地へ移動したくとも交通網の遮断でそれも難しい深刻な状況だ。早期の秩序回復を願うばかりだ。(編集担当:久保田雄城)