新コロナ対応、中小「テレワークは自社に適さない」2割弱 事業継続の視点も重要

2020年2月28日 09:22

 新コロナウイルスの感染が広がっている。政府は2月24日に基本方針を発表し、企業などの事業者に対しても「集会や行事の開催方法の変更、移動方法の分散、リモートワーク、オンライン会議などのできうる限りの工夫を講じるなど」の協力を求めている。既に大企業を中心に在宅勤務(テレワーク)を実施する企業が増えている。

 IT系コンサルティング企業のノークリサーチは「中堅・中小企業に対してもテレワーク導入を訴求すべきか」という問い合わせが徐々に増えてきている現況を踏まえ、中堅・中小企業におけるテレワーク導入とその他のIT活用提案の関連について分析を行い、26日にその結果を公表した。

 レポートによれば、年商100億円未満の中堅・中小企業で「テレワークが自社の業態に適さないと考える」と回答した企業の割合はIT関連サービス業では3.6%に留まる一方、他の業種では1割弱~2割弱となっている。

 逆に「適さない」と考える企業が多い業種は建設業の18.2%が最も高く、次いで一般サービス業の16.4%、運輸業の12.7%、卸売業、小売業がともに10.9%、組み立て製造業および加工製造業がおのおの7.4%という順になっている。

 やはり、小売業やサービス業では店舗勤務、製造業における工場勤務、建設業の現場勤務などテレワークの実施が難しいケースも多々あるようだ。大企業ではオフィス勤務の比率が高いのに対し、中堅・中小企業では上記のような店舗や工場、現場で業務を担う従業員の比率が高いためテレワークの導入は様々な困難がある。

 中堅・中小企業がテレワーク導入に取り組む際は個々の業種や業態を踏まえた上で、個別企業の特性に合ったテレワーク関連のソリューションを付加する必要があるようだ。IT企業は中堅・中小企業のテレワーク導入を提案する際はユーザ企業と共に固有のソリューションを見出していく姿勢が求められてくるとレポートは指摘する。

 その上で「新型コロナウイルスが及ぼすリスクという点では『従業員の感染』だけでなく『来店客の減少』や『サプライチェーンの停滞』なども考慮する必要があり」さらに「テレワークに留まらない事業継続(BCP)の視点に基づくIT活用提案の重要性」を強調している。

 日本企業はテレワーク体制が世界から遅れをとっているとも指摘されてきた。今回の危機を契機に日本企業に適したテレワークのITソリューションが模索されて行くのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)

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