27言語が学べる「東京外国語大学言語モジュール」の上手な活用方法

2020年2月26日 17:09

 東京外国語大学が提供している「東京外国語大学言語モジュール」は、27種類の言語が無料で学べる語学学習サイトだ。

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 英語、フランス語といった世界中で話されている言語以外に、ラオス語、カンボジア語、モンゴル語といったマイナー言語も基礎から学べる。マイナー言語は、よい参考書がなかなか見つからないため、同サイトの利用価値は高い。

 元々【モジュール】とは、「単位」や「部品」を意味する英単語である。東京外国語大学言語モジュールは、会話、語彙、発音、文法の4つのモジュールで構成されており、互いに独立しながら、全体として一つのまとまりをもつ。

 またウェブ教材の利点を活かし、4つのモジュールがゆるやかにリンクされている。音声や動画素材は各モジュールで共有されており、語学学習には重要な語彙・句・表現・発音の繰り返し学習が自然にできてしまう。

 2003年12月に「会話モジュール」が17の言語で公開されて以来、毎年のように新たな言語モジュールやテキストが公表されている。まだまだ現在進行形で開発が進められており、今後も一層の充実が図られていくと思われる。

 だが現時点では、各言語によってモジュールの充実度に大きな差異があり、会話、語彙、発音、文法と4つのモジュールが全て揃っているのは17言語、残りの10言語に関しては会話、語彙モジュールのみが公表されている。

■モジュール充実度別活用方法

 言語モジュールによる充実度の差異が大きいため、ここでは充実度の異なるグループ別に適切な活用方法を紹介する。(ABCDの区分は、図2を参照)

●(1)Aグループの活用方法

 このグループのモジュールは最も充実しており、国や地域で異なる標準語別に会話モジュールが作成されている。英語を例にとると、アメリカ英語会話モジュール以外にイギリス、オーストラリア、カナダ、シンガポールなど8カ国で話される標準英語会話モジュールが設定されている。

 中国語では普通話以外に北京の普通話、蘇州の普通話、台湾の普通話の会話モジュールがあり、動画でも地方の特徴的な単語や表現が使われ、動画の演者もそれぞれの地域のネイティブが演じている。

 Aグループに関しては、発音・文法の基礎から学ぶことも、苦手分野を補強するためにも利用が可能だ。また、自分が学びたい地域の会話モジュールを選んで学習を進めてもよい。

●(2)Bのグループの活用方法

 このグループはラオス語、カンボジア語などマイナー言語を含み、Aグループ同様に会話、語彙、発音、文法と4つのモジュールが全て学べる。各モジュールの内容も、市販の参考書で学べる範囲を超えた充実度だ。

 一般にマイナー言語に関しては参考書が少なく値段も高い。よって、マイナー言語を1から一人で学ぶ時には、このサイトを教材の軸として活用することも可能だ。

●(3)CとDのグループ

 CとDのグループは、会話モジュールと語彙モジュールのみ、あるいは会話モジュールのみが公表されている。文法と発音モジュールがないため、文字や母音・子音といった語学学習に最低限必要な要素が学べない。

 1からの学習には向かないため、まずは他の参考書などで基礎を学ぼう。その後、会話・語彙モジュールで実践的な会話を学び、ボキャブラリーを増やしていこう。

●(4)モバイル版の活用方法

 2012年7月に「東京外国語大学言語モジュール(モバイル版)」が公開され、現在では上記27言語のうちペルシア語とマレーシア語を除く他の25言語が利用可能だ。会話モジュールと語彙モジュールのみ設置されているため、会話・語彙の補強学習ツールとして活用することを薦める。

■モジュールを使って1から一人で学ぶための具体的な学習方法

 どのモジュールからでも自由に学習できるのが、このサイトの優位性だ。しかし自分で1から学ぶ場合は、下記の手順に則って進めるのがより効果的である。

 (1)発音モジュールで「サバイバルのためにこれだけは」(実践編)、または「母音、子音、声調、文字」(理論編)の部分に目を通す。

 (2)文法モジュールの基礎コースで動詞、名詞、疑問文、否定文など文法の最低限度のルールを学ぶ。

 (3)文法モジュールの「表示入力方法」の説明に則って、パソコンに必要なフォントをインストールする。

 (4)語彙モジュールの基礎語彙の学習ページで語彙、発音、文法、会話の基礎の基礎を固める。当該ページでは語彙のみでなく、その語彙を含む例句が表示されているため記憶に残りやすい。音声と日本語訳が付いているため、発音や語彙・句の記憶、思い出しを繰り返して練習しよう。

 (5)もう一度発音モジュールに戻り、「円滑なコミュニケーションのために」「ネイティブ並の発音を身につけるために」(実践編)、「音節」「概説」「イントネーション」(理論編)など学び残した部分に戻って学ぶ。

 (6)文法モジュールに戻り、発音モジュール同様に学び残した部分を学ぶ。

 (7)会話モジュールの学習を進めながら、必要に応じて文法・発音・語彙モジュールにリンクして学び、足りない部分を補強する。

■会話モジュールの学習について

 同サイトは、元々会話モジュールからスタートしており、会話モジュールは最も充実している。会話モジュール学習者用のトップ画面から「効果的な学習の進め方」にリンクできるので、最初に目を通してから学習を始めよう。

 会話モジュールは「ロールプレイ」「音読」「ディクテーション」「コピーイング」と4つの学習モデルが設定され、日本語・外国語字幕の表示・非表示を簡単に操作できる。また、動画を止めたりリピートしたり、音声を何度も聞いて正しい発音を確認したりできる。

 スピーキングやライティングという語学学習には不可欠なアプトプットの学習を、自分で効果的に進めることが可能だ。

 また、会話モジュールで学べる語彙や句は、実践的且つ実用的であり、現地でそのまま使える会話表現となっている。

 語学学習で最も重要なことは、短い時間でも毎日、継続して行うことである。言語モジュールを使った学習方法では、4つのモジュールの間を自由に行き来しながら、飽きずに楽しく集中して学ぶことができる。

 記憶の定着には繰り返して記憶し、それを思い出す作業が欠かせない。同サイトのモバイル版を活用すれば、通学・通勤時間を有効に利用して、語彙、会話モジュールを繰り返し学ぶことができるだろう。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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