景気後退か 政府景気動向指標、後退傾向を長期維持

2020年2月19日 08:34

 今年のオリンピックに関連する特需のピークアウトによりオリンピック前後での景気後退が懸念されてきた。2018年より米中貿易摩擦や世界経済の減速で製造業を中心に景気指標は山を越したような動きになっている。

 19年中の大きな景気後退を予測する声も多かったものの国内指標は堅調に推移し、消費税増税後の消費の落ち込みも心配されていたほどではないようだ。しかし、景気諸指標のトレンドは減速傾向を増しており楽観できる状態にあるとは言えない。

 10日に内閣府が景気動向指数11月分の速報値を発表した。これによると、11月の景気動向指数CIの速報値は15年を100として、先行指数が90.9、一致指数が95.1、遅行指数が104.2となっている。

 先行指数は前月と比較して0.7ポイントの下降で4カ月連続の下降となった。中期的な傾向を表す3か月移動平均も0.36ポイント下降し17カ月連続の下降となっている。さらに長期の7カ月移動平均も0.70 ポイント下降し18カ月連続の下降だ。

 一致指数も前月比で0.2ポイント下降し2か月連続の下降、3カ月移動平均は1.20ポイント下降で2カ月連続の下降、7カ月移動平均も0.90ポイントと大幅な下降で13カ月連続の下降となっている。

 先行指数の各指標の内訳を見ると実質機械受注と新設住宅着工床面積でのマイナスが目立っている。一致指数を構成する各指標をみると鉱工業生産指数、鉱工業用生産財出荷指数でのマイナス傾向が目立っており、海外経済の減速により生産財の生産・出荷が落ち込んでいる様子が示唆される。

 一方、商業販売額の小売業は消費税率の引き上げがあった10月には16.2ポイントのマイナスと大きく落ち込んでいるものの11月は4.9ポイントのプラスへと回復しており中長期的には回復傾向で推移していると言える。先行指数の指標である消費者態度指数も回復傾向を見せている。

 政府の月例経済報告では製造業での弱さを認めつつも「緩やかな回復」という判断を維持しているが、一致指数による基調判断では19年8月より4カ月連続で「悪化」となっている。「改善」と判断されたのは18年8月が最後で、その後は「足踏み」、「悪化」などの判断が続いており景気後退の可能性は極めて高い。

 指標の内訳を見ると海外経済の影響が強い製造業で下降が目立ち内需の中心である消費は堅調のようだ。今後これらの指標がどう動くか注目される。(編集担当:久保田雄城)

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