新型コロナウイルス、上場企業100社以上に影響 製造や百貨店 東京商工リサーチ調査
2020年2月10日 09:02
東京商工リサーチは7日、日本の上場企業における中国発・新型コロナウイルスの影響に係る調査結果を発表した。新型コロナウイルスの影響が売上や利益を押し下げるとしたのはヤマハなど製造業のほか、訪日客の減少で既に1 月の売上低下が明らかとなった松屋など大手百貨店。
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一方、その他多くの上場企業は、「影響の懸念がある」ないし「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」とした。いずれの企業も業績へのネガティブなインパクトを理解しつつも、その範囲を特定できずにいる。
昨年12月中旬頃に中国湖北省武漢市より発生した新型コロナウイルスを原因とする肺炎が世界各国に広がり、中国を中心に世界中の経済等への影響が懸念されている。8日には、武漢で入院していた新型肺炎の疑いある日本人男性が死亡。7日夕方には、シンガポールの保健省が感染症の警戒レベルを上から2番目へ引き上げ、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同水準とした。
かかる状況下、東京商工リサーチは、「決算短信」や「業績予想の修正」などを通し6日時点で新型コロナウイルスの業績への影響や対応を発表した国内上場企業78社と、工場の閉鎖や店舗の稼働休止などの方針を明らかにした上場企業30社の合計108社について、その内容を調査。
このうち18社が、売上や利益の減少要因として新型コロナウイルスの影響をあげた。例えばヤマハは、「感染拡大懸念などの先行き不透明感を一定程度織り込み」とし、2020年3月期の通期業績の前回予想を下方修正した。また、エイチ・ツー・オーリテイリングや松屋などの百貨店大手は、訪日客の減少で1月の売上が減少したことを発表した。
一方、42社は「影響の懸念がある」ないし「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」などと発表。新型コロナウイルスの影響が拡大する中、現時点では業績への影響を特定し難い現状が浮き彫りとなった。
新型ウイルスの発生地である中国では7日、新型ウイルスについて早い段階で警鐘を鳴らした武漢市の医師、李文亮氏が死亡。李氏は、ネットで注意を呼びかけた直後に「デマを流布させた」として公安当局の取り調べを受け、訓戒処分となっていた。
死亡の報を受け、中国のSNS上では李氏を英雄視するコメントが盛り上がり、訓戒処分を下した中国政府も党の機関紙などメディアを通して同情的なコメントを発信している。一方、李氏に対する追悼の言葉や中国共産党の情報統制に対する不満のコメントは、SNSへ投稿してもすぐに削除されるような状況は今も続く。(記事:dailyst・記事一覧を見る)