2019年の農業者利益、収量減少とコスト高で減益に 耕種・畜産ともに 日本公庫調査

2020年1月30日 17:54

 日本政策金融公庫が取引先の農業者を対象とした経営動向分析結果を発表し、耕種・畜産ともに売上高こそ堅調な部門はあるものの、コスト高により利益面では厳しい状況になっていることが分かった。

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■耕種は個人・法人ともに苦戦

 28日、日本政策金融公庫が2019年の「農業経営動向分析結果」を発表した。

 耕種における売上高平均は、個人が前年比1.6%増の3,160万円だったものの、法人は同1.8%減の7,970万円だった。一方利益を見ると、個人の平均農家所得は同10.8%減の720万円、法人の平均経常利益は同51.6%減の360万円といずれも減益となっている。

■収量不足に加えコスト高が影響

 作物別に見ると、果樹、施設野菜などで売上高が前年比プラスとなった作物があるものの、利益が増益となったのは、果樹の個人(前年比:6.0%増)のみ。北海道畑作の法人(同64.2%減)、露地野菜の法人(同71.8%減)、茶の法人(同53.2%減)、きのこの個人(同68.0%減)で特に減益幅が大きくなっている。

 不振の原因として、稲作では低温と日照不足、北海道畑作は長雨、果樹では台風などの自然災害により収量が減少。また全体的に労務費や燃料動力費が増加したことでコスト負担につながったという。こうした中でも比較的堅調だった果樹は、販売価格が高値で推移したことから利益水準が保たれていた。

■畜産も利益段階で苦戦

 畜産も耕種に似ており、売上高平均は個人が前年比1.7%増の1億1,260万円、法人が同1.0%減の5億4,000万円ながら、個人の平均農家所得は同20.4%減の990万円、法人の平均経常利益は同61.1%減の1,360万円となっている。

 作物別に見ると、酪農、肉用牛肥育、ブロイラーで個人・法人ともに売上高が増収となったものの、利益で増益となったのは、酪農の北海道個人(前年比:4.4%増)、肉用牛肥育の法人(同35.3%増)、ブロイラーの個人(同3.6%増)のみ。一方、酪農法人の都府県(同51.1%減)、養豚法人(68.3%減)、採卵鶏の個人(同74.5%減)、ブロイラーの法人(64.2%減)で減益幅が大きかった。

■牛肉の価格好調もコスト高で苦戦

 酪農では乳価の値上げ、肉用牛肥育では牛肉の販売価格が高値で推移したことで増収となったものの、飼料費や労務費が増加したため減益となった。また養豚や採卵鶏では販売価格の下落が全体の減収につながっているという。

 調査は、公庫の取引先から対象となる農業者(5,686者)の決算データを集計・分析して行われた。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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