大学入試「要約力」習得のススメ
2020年1月27日 13:08
■入試形態がどう変わろうが、勝敗を決するのは「要約力」
推薦入試、AО入試、国公立大学入試、私大入試、とすべてにわたって共通する実力とは何か。答えは「要約力」である。
【こちらも】難化傾向の私大入試を勝ち抜く戦略
大学入試全体を見わたせば、そもそも推薦、AОを受験するのか。受験するならだいたい小論文が課せられる。たとえ小論文がなくても、結局はプレゼンテーションや面接で「要約力」が必要になる。
小論文だろうが、プレゼンテーションだろうが、与えられた課題(情報)を自分の言葉で要約し、他者の意見をふまえた上で根拠づけして自分の意見を述べる、ということに変わりはない。
国語という1教科で見ると、「要約」は最終問題で高配点の問題になる。センター国語の問5、6が典型であり、国立2次試験の記述問題しかりである。
■大学入試における「隔年現象」とは
国公立大学の出願が始まるが、大学入試の出願には「隔年現象」というのがある。前年度の出願、合否状況を見て、「競争倍率が落ちてる!」と判断した学校は多くの受験生が出願するため、結果として難化する。その反対に前年度、競争倍率が上がっていると思われた学校は、出願を避けるために、結果として競争倍率が下がり入りやすくなったりする現象である。
明治学院大学などの中堅私立大学のセンター利用試験に顕著に見られ、国立大学の北海道大学、九州大学といった旧帝大にも見られる現象だ。だから、出願の際には、最低でも5、6年のスパンで出願状況を確認する必要がある。
■目先に左右されない「骨太」な実力を養う
「隔年現象」を逆手に取り、前年度、異常に競争倍率が上がっている大学に出願するというのも一つの選択だが、しょせんギャンブルの域を出ない。つまり、「隔年現象」で出願を左右されているという時点で「負け」は約束されている。
なぜなら、目先、部分しか見ていないからである。実際の入試で言えば、センター試験が終わってから志望校を変更し、「小論文ある、どうしよう」と言っている受験生。評論文の読解で、傍線部が出てくるたびに立ち止まって設問を解こうとする受験生。共通するのは、部分だけ見て場当たり的に対応しようとしていることである。巨視的なマクロの視点が決定的に欠けているのである。
だから、特に高1、2生の保護者には、普段から子どもの「要約力」を育てていくことをオススメしたい。「それってつまり、どういうこと」といった具合に「まとめ」を促していくのだ。
国語においては、課題文を読んだら、設問に入る前にまず「要約」するクセを身につける。社会においても、単元が終わったら、「つまり、ヨーロッパの中世とは…」と俯瞰(ふかん)的にとらえるクセをつける。だから入試制度が変わり、大学入学共通テストに記述が導入されようが、されまいが関係ない。
「むしろ記述があった方がラッキー!だって点差を拡げられるから。」
以上のように、普段から全体を見わたす視点、「要約力」を磨いておけば、あらゆる入試形態で勝ち残る「骨太な実力」を養うことがきる。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る)