私が見てきた「育てられないリーダー」の6パターン
2020年1月9日 19:56
いろいろな会社でときどき聞くことですが、「あの人(リーダー)は人を育てられない」という話があります。「部下をつぶす」とか「部下がすぐ辞めてしまう」などと言われていることもありますが、そういうリーダーたちの様子を見ていると、いくつかの共通パターンがあります。
あくまで私の経験上なので、学術的なエビデンスなどはありませんが、思ったことを6つ列挙してみました。
1.褒められない人
人材育成では「褒めること」が大事だと言われるようになってから、ずいぶん時間が経ちますが、やはりなかなかできないリーダーが多いようです。
ただ、最近はまったく褒めないわけではなく、自分なりの部下の良いところを見つけて褒めようとはしているのですが、多くの場合で「それ以上のダメ出し」とセットになっています。褒めることはおまけで、主題はダメ出しになっています。
この場合、リーダーの方は「自分は結構褒めている」と思っていますが、部下の方はまったく褒められたと思っていないので、自己肯定感が生まれずやる気も失っていって、結果的に成長できない状況に陥ってしまいます。
2.怖い人
威圧的な態度や言動をする人、感情的に怒ったりする人のことで、部下からすればできるだけ接点を減らして会話したくない人です。これは「厳しい人」とは違います。
「厳しさ」とは、会社であれば高い目標レベルの要求や困難な取り組みが本来であるのに対し、「怖さ」というのは単なる恐怖心です。
私の知人で、とても物腰が柔らかくて腰が低いリーダーがいますが、部下への要求レベルは高いです。部下のレベルに合わせて、ちょっと頑張らないと届かない目標を常に設定して、押したり引いたりしながら、その達成を支援する感じですが、本当の「厳しさ」とはこういうことです。
接し方のキツさや威圧することを「厳しさ」と勘違いしている人は、今でも意外にいます。それでは人は育たないでしょう。
3.結果主義の人
これは業種や仕事のスタイルによっては許されることもありますが、多くの場合で「結果しか見ない」というリーダーのもとでは、あまり人は育ちません。
例えば、個人で仕事が完結する営業職などでは、純粋な結果主義の方が公正に評価できる場合があります。ただし、そういう場合は、個々の社員が個人事業主的な考え方で、スキルアップは自己責任と考えているので、そもそも他人を育てようという文化ではありません。
やはり組織やチームで動く環境の中であれば、人材開発、部下育成は必須であり、そこでは結果だけでなく、途中のプロセスも評価しなければなりません。育成で重要なのは「良いプロセスを身に着けること」です。
4.世話好きな人
「世話好き」は一見すると良さそうな気がしますが、言い方を変えると「何でもやってあげてしまう人」です。私が見てきた中では女性のリーダーに多かったですが、「仕方がないなあ」などと言いながら、仕事を引き取って自分でやってしまうのです。要は「任せない」「権限委譲しない」という状態で、部下は過保護にされた子供のようなものです。それではやはり成長は遅くなります。
ただし、このタイプのリーダーは、本人が気づくことで劇的に改善します。「まず任せてみる」「最後までやらせてみる」ということができるようになると、もともとの「世話好き」というという特性が活きてきます。
人材育成では、やはり本人にやらせることが大事です。
5.他人の成長に興味がない人
結果主義と近いかもしれませんが、部下育成自体に興味がないリーダーは、少ないながらも存在します。それで許される組織はあるでしょうが、多くの会社では「リーダーに不向きな人」となるのではないでしょうか。
6.自分基準の人
自分の能力を基準に相手を指導しようとする人で、「なぜこんなことができない」「これくらい常識」というのが口癖のような人です。自分基準なので、自分が得意なことには厳しく、不得意なことは甘くなったり無視したりすることがあります。
仕事ができるリーダーに多いですが、「名選手は名コーチにあらず」ということになるのでしょう。
相手への寛容さと、その人のレベルに合わせた指導が必要でしょう。
最後に、この6パターンに合致するリーダーは、たいがい無意識か、場合によっては良かれと思ってやっています。自ら気づくのは難しいので、周りの誰かに確認してみると良いでしょう。
いずれにしても、人材開発、育成は本当に永遠のテーマです。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。