子どもの引きこもり、暴力、長引く体調不良 もしかしたら小児鬱かも

2020年1月6日 11:08

 日本の社会問題である鬱病は悪化すると最悪自殺に繋がりかねない深刻な病であり、子どもでも発症することがある。子どもに鬱の兆候があれば早期に専門医を受診することが大切だ。

 しかし子どもは大人の鬱とは違う症状を訴えることが多く、鬱だと認識できず対応が遅れてしまうことがある。子どもの度重なる体調不良、単なる反抗期だと思っているイライラが実は鬱のサインかもしれない。

■鬱を見逃す理由

 なぜ子どもの鬱の兆候を見逃してしまうのか。それは子どもが自分の状態を的確に伝えることができないからだ。言語の表現が乏しかったり、子ども自身に自覚がなかったり、親に心配をかけたくなく隠そうとするためである。

 例えば大人であれば「気分が重い」というところを、子どもは伝え方がわからず「お腹が痛い」と言ったりする。そして内科に連れていくが原因がわからないということになる。

■反抗期と鬱の見分け方

 鬱には言動が粗暴になる焦燥型鬱というものがあり、一見元気なので鬱と判断されにくい。しかも思春期の子どもの場合「ただの反抗期だろう」と流されてしまうケースもある。

 反抗期は何が何でも親に反抗したいだけなので話に筋が通らない場合が多いが、鬱は話にズレはあれどだいたいは筋があるという違いがある。とはいえ判断は簡単ではないので、迷う場合は精神科を受診した方が良い。

■サインに気づくには普段から子どもと関係を築くこと

 大人以上に気づきにくい子どもの鬱のサイン。早期に気づくためには日々一緒に食事を摂るなど、日常的に会話をすることが大切だ。

 子どもはたとえ重大ないじめがあったとしても「何かなかったか」という問いに何も答えないことが多い。しかし問われた時の表情には不安な気持ちが表れてくるはずである。普段から会話を重ねていればそういった小さな変化に気づき、有効な手立てを早い段階で打つことができる。

■子どもが鬱になったら傾聴に徹する

 まだ幼い自分の子どもが鬱になってしまったら親としてはショックを受けるかもしれない。だからといって「絶対に死んではいけない」「もっと外へ出た方がいい」などと解決を急いではいけない。

 たとえ子どもが「死にたい」と言ってきたとしても、その気持ちを真っ向から否定せず、じっと優しく話を聞いてあげること。そして少し落ち着いたら「また明日話そうね」と言って、温かい飲み物を一緒に飲めば少しずつ子どもは心を開いていくはずである。

※参考資料
『子どものうつがわかる本』下山晴彦(主婦の友社)
『子どもをうつから救う!家族のための症例別対応ガイド』武田浩一 (インプレスR&B)(記事:双風サキ・記事一覧を見る

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