【異説・新年相場展望】2020年は敵対的M&A、経営統合、業界再編など内部留保のマグマが噴き出し急浮上銘柄も

2020年1月1日 08:02

■企業価値が高まる展開も想定

 2020年相場がスタートし、日経平均株価の年間高値は2万7000円、なかには強気に3万円とするなど強気の相場コメントが盛んである。この動向を左右するのは、第一段階で合意した米中貿易協議が、第二段階、第三段階と交渉が順調に進展するかどうかで、仮に11月の大統領選挙を前にトランプ大統領が強硬姿勢を示せば、リスクオンがリスクオフに一変して株価の下ぶれも覚悟しなくてはならない。

 しかし、これとは別に新年相場は、企業に内在するマグマが噴き出しコーポレート・ガバナンスがダイナミックに動き企業価値が高まる展開も想定される。株式は、もともと企業の経営へ参加する経営権を得る支配証券の側面と、配当を受け取る利潤証券の側面、さらに残余財産の分配を要求できる物的証券の3つの側面を持つが、支配証券の側面がより強まる展開である。

 すでに2019年も、こうしたうねりの前兆が株式市場を揺り動かしてきた。買収資金が9640億円にも達した日立化成<4217>(東1)に対する昭和電工<4004>(東1)の友好的な大型株式公開買い付け(TOB)、ユニゾホールディングス<3258>(東1)やニューフレアテクノロジー<6256>(JQS)を巡る三つ巴の敵対的TOBなど、かつてのTOBに対する拒絶反応は霧消して成長戦略として認知された。

 また、日立製作所<6501>(東1)や東芝<6502>(東2)は親子上場問題を解消してグループ企業を再編し、清水建設<1803>(東1)やキリンホールディングス<2503>(東1)は、政策保有株の売却資金を原資に充当した自己株式取得を実施し、100年に一度の大変革といわれるCASE(インターネット接続・自動運転・シェアリング・電動化)を前にしたホンダ<7267>(東1)系列の部品会社の経営統合なども相次ぎ、株式市場を賑わしてきた。

■先駆期待のシンボル株とは?

 企業には400兆円を超す内部留保が眠っている。設備投資にも株主還元にも従業員の給与にも回されず「死に金」といわれたこの内部留保に政策保有株の売却資金が加わり、マグマのように噴き出す2020年になるとすれば、コーポレート・ガバナンスのダイナミズムがより強まり、ここから株価が急浮上する銘柄が続出すると予想される。そこで先駆期待のシンボル株として3銘柄に注目した。

 第一は、債務超過から事業売却、グループ会社再編などで生還して収益拡大ステージ入りが観測されている東芝である。第2は、M&Aを成長戦略の中核にしている会社で、主力企業では日本電産<6594>(東1)、光通信<9435>(東1)などがまず上げられるが、敢えて小型株のヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>(東1)である。最後はM&A件数の増加とともにビジネスチャンスが拡大するM&A仲介会社で、値ごろ的にも投資採算的にも出遅れているGCA<2174>(東1)である。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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