米国防総省、直販型DNA検査キットにはセキュリティリスクと注意喚起
2019年12月29日 07:38
米国防総省が直販型DNA検査キットにはセキュリティリスクがあるとして、使用すべきではないと注意喚起するメモを軍人に送ったそうだ。この件は米Yahoo Newsが入手したメモを元に報じ、国防総省報道官がThe New York Timesに事実関係を認めている(Yahoo Newsの記事、 The New York Timesの記事、 The Vergeの記事、 SlashGearの記事)。
直販型DNA検査キットは綿棒で採取した口腔内細胞や唾液のサンプルを送るだけで手軽にDNA検査ができるが、中には検査結果を捜査機関と共有したり、第三者に販売したりする企業も存在する。国防総省が懸念するのもこの点のようで、遺伝子情報が外部に漏れることは個人的および戦略的なリスクにつながるという。
メモによれば、こういった直販型DNA検査はほとんど規制されておらず、個人情報や遺伝子情報が漏れる可能性や予期せぬセキュリティ上の問題を引き起こす可能性があるほか、統合軍や作戦に対するリスクを増加させるとのこと。また、DNA検査キット会社の中には軍人をターゲットにした値引きを提供するところもあり、国防総省内で広まっているそうだ。
報道官は不正確な検査結果が軍人の士気に影響する可能性や、その情報が開示される可能性を指摘する。国防総省はDNA検査全般に反対しているわけではなく、消費者向け製品を使用せずに認可を受けた専門家に依頼することを推奨しているとのこと。なお、メモでは具体的なリスクを説明していないが、報道官も明言を避けたようだ。
これに対し、DNA検査キットを提供する23andMeでは米食品医薬品局(FDA)の認可を受けた同社の検査は99%以上正確だとし、検査は米国内で行われ、別途明確な承諾を得ない限りは情報を外部と共有することもないと反論。同じくDNA検査キットを提供するAncestryは軍人向けの値引きは行っていないと述べ、外部との情報共有も否定したとのことだ。