巨大銀河の核は120億年前にはすでに存在した 国立天文台などの研究

2019年12月23日 08:24

 宇宙は、ビッグバンと呼ばれる大爆発が起きて約138億年経つ。国立天文台は18日、120億年前の巨大銀河がすでに核をもつことを発見したと発表した。銀河の形成史を解明するうえで重要な発見だという。

【こちらも】銀河の中心「超巨大ブラックホール」ドーナツ構造の正体を解明 国立天文台など

■謎の残る銀河形成史

 ビッグバンののち、宇宙は複雑な原子や分子を作りながら、現在の姿へと成長していった。宇宙空間に存在する銀河の数は数千万個以上だと考えられている。だが、銀河がどのような過程を経て誕生し成長したかについては謎が残るという。

 内部で星が活発に誕生する「元気な」銀河と、星を作る活動を止めた「静かな」銀河の2種類に銀河は大別される。静かな銀河がなぜ星の生成を止めたかについては、未だ不明な点が残る。そのため、元気な状態から静かな銀河へと移行する銀河が謎の解明を握っていると考えられる。

■赤外線望遠鏡が明かす遠方銀河の詳細

 国立天文台などの研究者から構成されるグループは、すばる望遠鏡で観測された暗い天体から遠方銀河を発見し、W.M.ケック天文台で詳細に観測した。ハワイ・マウナケア山頂で隣り合う両望遠鏡は、百数十億光年彼方の銀河を赤外線で観測可能だ。

 今回、W.M.ケック天文台を活用し2マイクロメートルの波長で観測したところ、この遠方銀河が、120億光年彼方に位置することが判明。これまで発見された静かな銀河のなかで、最も古いものだという。

 宇宙の歴史のなかで、最初に星の形成を終えた銀河は、質量の大きな天体だと考えられる。今回発見された銀河は天の川銀河よりも質量が大きく、この説を支持する。

 銀河中心の核もまた、120億年前の時点で存在していたことも判明した。今回発見された銀河内の星が現在の宇宙に存在する質量の銀河のものとほぼ同じ速度で移動していることから、明らかになった。

 これまで発見された銀河の核で最古のものは110億年前であることから、想像以上に早い段階で銀河核が存在していたことに研究グループは驚きを隠せないとしている。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journal Lettersにて11月6日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連記事

最新記事