温暖化により日本海側では豪雪強まる地域も 東北大などの研究
2019年12月20日 15:07
地球温暖化による気候変動が懸念されている。東北大学は17日、スーパーコンピューターで大規模な温暖化予測を実施した結果、日本海側の中部日本山岳地域では、温暖化により豪雪が現在よりも強くなると発表した。
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■2パターン存在する降雪の原因
日本の降雪は2種類に大別される。1つは西高東低の冬型の気圧配置により日本海側で雪がもたらされ、もう1つは太平洋南岸で西から東へと低気圧が移動し雪が降る場合だ。
気候変動による降雪への影響を理解することは、人的被害の防止の観点から意義をもつ。とくに問題視されているのが地球温暖化の影響だ。20世紀の100年間で約0.7度上昇しただけでなく、二酸化炭素ガス排出量の増加により温度上昇は加速するとみられる。
■豪雪が強くなる日本海側
東北大学、気象庁、海洋研究開発機構の研究者から構成されるグループは、「地球シミュレータ」と呼ばれるスーパーコンピューターを用い、地球温暖化による日本各地での豪雪状況を分析した。5平方キロメートル単位の地域規模の気象現象を捉えられるという。
研究グループは、産業革命から2度ないし4度温度上昇した場合の日本の沿岸地域における豪雪状況を予測した。その結果、中部日本山岳地域では豪雪が強まることが判明したという。
温暖化により空気中の水蒸気が増えるため、温暖化しても雪が解けることなく地面に降るのが原因だ。他方太平洋側では、温暖化により豪雪が弱まることも判明。気温上昇により雪が雨に変化するのが原因だという。
研究グループによると、気候変動による豪雪への対策を検討するため、寒波を常時監視する必要があるという。大寒波の可能性が観測された場合には、中部日本山岳地域で現在よりも強い豪雪の警戒が必要だとしている。
研究の詳細は、Journal of Geophysical Research-Atmospheres誌にて17日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)