自動車業界における「OEM」とは? そのメリットは

2019年12月16日 19:36

 メーカーが違うのにそっくりな車を見たら、それは「OEM」であることが多い。OEMは決してパクリではなく、提携先のメーカーから公認を得て似たモデルで販売している。専門用語のため、この意味をよく知らない人は多いかもしれないが、OEMの意味を知っておくことは、マイカー選びにおいても損は無い。

 OEMとは、「Original Equipment Manufacturing」の略であり、自動車業界では、ほかのブランド(メーカー)で作られた車を意味する。特にトヨタやダイハツ、日産と三菱のように提携関係のあるメーカー同士でOEMのやり取りが行われる。近年の自動車市場では、多くのOEM車両が見られるが、メーカーがなぜ他社で作られた車を導入するのか、わからない人もいるだろう。

 OEMには主に2つの形式がある。当初から相手先メーカーにおいてOEM提供することを前提として車の生産を行う場合と、相手の企業に頼まれて、自社ブランドの車の生産を行う場合である。生産側とOEMを受ける側のどちらからの需要による違いだが、いずれにしても、OEMに自動車企業が手を出す理由は、開発コストの削減である。

 メーカー内で車のバリエーションを増やすには、ニューモデル専用のパーツ設計から始めなければならず、生産コストが上昇し利益に影響が出る。しかしほかのメーカーにOEM車両の生産を頼めば、自社では新しい車作りに費やす時間やお金を節約できるのだ。

 最近ではコンパクトSUVのトヨタ・ライズとダイハツ・ロッキーがOEM車両として話題になっている。生産したのはダイハツでありながら、その一部はロッキーではなくライズというOEM車両としてトヨタに渡った。発売後約1カ月での受注台数は、ライズは約3万2,000台、ロッキーは約1万500台と、両車種とも大きな人気を誇っている。

 OEMは、自動車ユーザーのニーズにさえはまれば、互いの車種とも愛される車としてブレイクする可能性を持つのだ。

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