藤商事 Research Memo(6):顧客ニーズに合致した新機種を開発していくことでシェア拡大を目指す

2019年12月13日 16:36


*16:36JST 藤商事 Research Memo(6):顧客ニーズに合致した新機種を開発していくことでシェア拡大を目指す
■藤商事<6257>の今後の見通し

3. 成長戦略
(1) シェア拡大施策
旧規則機から新規則機への入れ替え需要発生により、2020年度の遊技機市場は前年度比2ケタ成長が見込まれる。こうしたなかで、同社は稼働力のある魅力的な商品を開発していくことでシェア拡大を目指していく。前述したように顧客ニーズとのギャップを解消すべく、開発および営業部門から選出して全国のホールを行脚し情報収集に当たっている。収集した情報は開発部門にフィードバックし、2020年から投入する機種に反映させていく方針だ。新規則機への移行により射幸性が抑えられるため、顧客ニーズも変化する可能性があり、こうした変化をいかに迅速かつ的確にキャッチし製品開発に生かせるかが、今後のシェア拡大の鍵を握ると見られる。同社はパチンコ機の市場シェア目標として10%を掲げている。

一方、パチスロ機については引き続きパチンコ機の人気タイトルとのタイアップ戦略を推進し、ブランド力を高めていくこと、また、新設した子会社も活用しながら投入機種数を拡充して販売台数の増加を目指している。

(2) 収益力強化策
収益力強化施策としては、従来と変わらず開発効率の向上や原価低減活動を進めていく。開発工程では内製化率の向上や、開発プロセスの効率化、仕様の見直しを行うことで1機種当たりの開発コスト削減に取り組んでいる。具体的には、リユース部品の活用や金型の共通化による設計段階からのパネル原価低減のほか、映像コンテンツの制作コスト低減などに取り組んでいる。

部材調達では、発注数量の最適化や新規リユース部品の採用、複数回リユース部品の拡充、リユース対象機種の拡充と調達力の強化を図っている。特に、ホールからのリユース対象機種の回収率向上や、調達ルートの見直しによるコスト低減余地は残っており、材料費率を引き下げていく。同社はこうした取り組みにより、今後も売上総利益率で50%程度の水準を維持していく方針だ。

(3) デジタルコンテンツ事業の育成
同社は新たな収益源の創出に向けて、スマートフォン用ゲームアプリの市場に参入し、育成に取り組んできた。2016年3月に美少女系の本格対戦RPG「マギアコネクト」、同年7月に麻雀バトルゲーム「アドヴェントガール」をテストマーケティングも兼ねてリリースし、2018年3月には完全オリジナルとなるファンタジーRPG「23/7トゥエンティ スリー セブン」をリリースした(2018年12月に配信サービス終了)。

こうした経験を踏まえて、第4弾となるゲームアプリの開発を現在進めており、同アプリの成否によってデジタルコンテンツ事業を継続していくかどうかを決定する方針としている。オリジナルIPによるキャラクターを生かした育成型ゲームで、RPGの要素も取り入れており、40代以上の男性を顧客ターゲットとしているようだ。2020年のリリースを目指しており、その動向が注目される。

その他、デジタルコンテンツ事業では提携先のサン電子を通じて、パチンコ機やパチスロ機の実機シミュレーションアプリを配信(1タイトル2千円)しており、同社はサン電子からロイヤルティ収入を得る格好となる。2019年10月までに「パチスロ リング 終焉ノ刻」「CRリング 終焉ノ刻」「CR戦国†恋姫」「CR 緋弾のアリアAA」の4タイトルをリリースしている。業績への影響は軽微だが、実機のゲーム性をアプリでも楽しめるほか、新規ユーザーがアプリを体験後にホールの実機で遊技する流れを作るなど、ファン層の広がりが期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SF》

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