コンビニのカラクリ(4) 本部の強い仕入れ要請、でも廃棄費用は加盟店負担 見直しが急務!
2019年11月27日 17:00
コンビニには、廃棄費用のほとんどが加盟店の負担で、積極的な仕入れを奨励した本部のフトコロは痛まないところに、本部と加盟店の思惑がすれ違う根本的な理由がある。
【前回は】コンビニのカラクリ(3) おでんの手間は並みじゃないのに、煮込んだ頃には廃棄が迫る!
「販売機会を逃さないように」とか「品揃えの悪い店だと思われると、客足が遠のきます」などと、もっともな理屈をつけてより多くの仕入れを迫る。果ては、オーナーの不在を幸いに加盟店のパソコンから無断で発注する担当者が出現するのも、加盟店の仕入れが増えれば本部のロイヤリティが膨らむからにほかならない。
ところが、多少の欠品が出て販売機会を失うことによる加盟店の逸失利益(100円の商品であれば、売上の10%に当たる10円)と、売れ残って廃棄処分されるロス(同じく売値100円なら、90円の損失)のどちらを減らす方が効果的かは言うまでもない。次の配送車が到着する直前に売り切る程度の商品が並んでいればいいのだ。
また廃棄についても、せめて廃棄費用を加盟店と本部の間で折半するようなシステムに変更できれば、日々の弁当類や季節イベントの目玉商品の過大な仕入れを迫る本部担当者は減少するだろうし、今とは逆に「そんなに仕入れていいんですか?」と仕入れを抑制する方向に180度転換する可能性すらある。
過剰な仕入れが減少すると、配送車両の積荷スペースに余裕ができて、便数の減少や担当エリアの拡大という、今までとは違った効率化を検討することも可能になる。廃棄費用が折半されることになれば、担当者は個々の加盟店の店質に合わせた販売促進策を、必死に検討することが不可欠だ。それこそが加盟店担当者本来の仕事でもある。担当者の上司だって、加盟店の売上に見合った仕入れを認めざるを得ない。
ファミマでは季節商品を予約制にしたところ、食品廃棄物は大幅に減少し、加盟店には利益7割増という恩恵をもたらしたという。当然のことながら、ファミマ全体の販売量は減少して、対前年比で2割減となったというが、今までが加盟店に負担を強いる水ぶくれの状態だったということだ。各チェーン本部のロイヤリティは軒並み減少すること間違いなしだが、廃棄費用が大幅に削減される加盟店の収支は好転して、人手不足によって高騰している人件費の負担能力も向上する。
「食品ロスの削減の推進に関する法律」は10月1日に施行されている。コンビニから大量に発生する恵方巻などの食品廃棄物問題は、折に触れて問題視されてきたコンビニのウイークポイントだった。ファミマが先鞭をつけた「季節商品の予約制」が、16年度には年間643万tに膨れ上がった日本の食品廃棄問題を改善するキッカケとなれば、コンビニのイメージ回復にもつなげることができるはずである。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)