TATERU、中期経営計画発表 22年12月期に営業利益10億円以上目指す
2019年11月23日 20:10
■18年の資料改ざん事件を経て、経営再建中
TATERU(1435)は22日、19年12月期から22年12月期の中期経営計画を発表、22年12月期の連結営業利益は10億円以上を目標とした。18年に起きた顧客資料の改ざん事件によって、業務改善命令を受け経営再建中だが、自社施工の賃貸物件における管理収入を中心とした収益性の高い事業に集中していく方針だ。
【こちらも】スルガ銀行・TATERU・レオパレス21、賃貸住宅融資を機能不全に追い込む
なお、11月11日に発表している19年12月期第3四半期連結決算では、売上高は前年同期比65.3%減の176億700万円、営業利益は72億6,700万円の赤字(前年同期は24億300万円の黒字)、純利益は104億6,300万円の赤字(同32億1,200万円の黒字)と大きく落ち込んだ。アパート販売の落ち込みの他、全従業員の約3割にあたる早期希望退職者向け引当金の影響も受けた。
■3つの事業ポートフォリオ構成で収益性を重視
資料改ざん事件によって、19年7月に1週間の業務停止の命令を受けたTATERU。再発防止に向けた対策を進めており、中長期的な経営改善に向け取り組んでいる。19年12月期に早期退職優遇制度を実施し、136名の早期退職者を募った。また、子会社のインベストオンラインの株式譲渡を行い、合わせて約18億円の特別損失を計上。他事業ポートフォリオ見直しによって減損損失を約9億円計上したことから大幅赤字となった。
これまで、一人暮らし需要の多い東京・大阪・名古屋・福岡を中心に、自社開発のアパート販売を行い事業拡大してきたTATERUだが、改ざん事件をきっかけに、既存の管理物件による管理費等のストック収入をベースに、住居向けIoT商品の販売やスマートホテル事業の拡大を狙っていく方針だ。アパート販売については、国内外の富裕層向けに好立地物件を取得し販売する形によって、資料改ざんといった不正の再発防止に対して大いに取り組む模様。
■目先の倒産リスクの可能性は低い財務体質
一連の騒動を経て大赤字を出しているTATERUだが、目先の倒産リスクは低いとみられる。19年12月期3Q時点での財務状況だが、現預金が81億1,600万円に対して、有利子負債残高は30億100万円と実質無借金経営がなされている。騒動前より所有していた不動産物件の売却や減損処理を行い、キャッシュを貯めこみつつ事業の膿を出し切ったと言える。
実際TATERUが管理する2万6,099戸の物件への入居率は98.8%を誇り、ほぼ満室状態を維持している。入居者にとって魅力的な物件を有しており、安定した管理収入を見込めるため早々の倒産の可能性は低い。ただし、今後の訴訟リスクや事業進捗の状況によっては苦慮する可能性も秘めているため動向を注視したい。(記事:拓蔵・記事一覧を見る)