AIがセンター試験の英語で高得点をマーク NTTと国立情報学研究所が開発
2019年11月22日 09:04
NTT(東京都千代田区)は18日、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発したAI(人工知能)により、2019年センター試験の英語試験において、185点(偏差値64.1)という高い得点を獲得したと発表した。この取り組みは、国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の一環として行われ、最新の深層学習技術を適用した成績に対し、30点以上(偏差値約7相当)改善したという。
【こちらも】Googleがオープンソースで公開したAI技術「BERT」 読解力は人間上回る?
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト、略して「東ロボ君」は、2021年度の東京大学合格を目指して2011年から始まった人工知能開発プロジェクトだ。15年6月の模擬試験で偏差値57.8をマークするも、東大合格に必要な読解力が不足しており、現状の技術ではこれ以上の成績向上は望めないとして16年11月に合格を断念したことが発表されていた。
文章を理解するAI開発には、自然言語処理能力の向上が欠かせないが、近年深層学習による自然言語処理技術が急速に進展している。今回の英語試験では、その最新技術であるXLNetや、Googleが開発したBERTが使われている。XLNetは大規模テキストによる事前学習を行ったベースモデルをもとに、異なる種類の問題を比較的少量のデータから効率的に解くことができる。だが、学習に利用できるデータが不足している問題や、解答に辞書的な情報が不可欠な問題では、回答の精度が落ちることが課題となっていた。
「東ロボ」英語チームでは、XLNetが苦手とする不要文除去・段落タイトル付与・発音問題において、独自技術を適用することにより、200満点中185点を獲得することができたという。また、同じ技術を過去3年間のセンター本試験と追試験に適用し、安定して偏差値60以上という結果を得ることができた。
今回の成果を踏まえ、NTTでは今後、東ロボプロジェクトを通じて文脈理解や、常識・専門知識の両方に基づいた対話や質問応答を実現し、さまざまなサービスに展開していきたいとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る)