死語になった自動車用語「シンクロメッシュ」
2019年11月21日 20:15
昨今の車と比べると、昔の車といっても1960年代頃の車は、扱いが非常に難しかった。自動変速機(AT:オートマチックトランスミッション)も殆ど普及しておらず、手動変速機(MT:マニュアルミッション)が一般的だった。もちろん、「AT限定免許」なんてものは存在しなかった。
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そしてそのミッションも、ローギアはノンシンクロ。つまりシンクロメッシュでは無いので、回転数が合っていないと、回転数を合わせるためにダブルクラッチなる作業が必要だった。
当時一般的だった3速のミッション車なら、普段は停止状態で、ローから動き出して、セカンド->トップとシフトアップして行くので、ローがシンクロで無くても支障は無い。しかし、トップ->セカンド->ローとシフトダウンする場合、セカンドからローにギアを落とす際には、一度セカンドからギアを抜いて、ニュートラルで繋ぎ、アクセルで回転数を上げてやってからローに落とす「ダブルクラッチ」なる作業でローギアの回転数を合わせて、シンクロ(同期)させてやる必要があった。
そうしないと、回転が同期していないため、ギアがガリッと鳴る。(一般道なら、トップ->セカンドまでシフトダウンして、停止直前にクラッチを切ればローまで落とすことは不要だが、急な下り坂等ではローのエンジンブレーキが必要となるので、セカンド->ローのシフトダウンが必要となる)
当時は、変速機は大体3速が主流だった。
■フロントグリルに“Full“のオーナメント
1959年8月発売のダットサンブルーバード310系が、1960年11月にマイナーチェンジして311系になった際、日本初のフルシンクロとなった。これを強調するために、フロントグリルに「full」と、わざわざオーナメントまで取り付けてあった。
■クラウンも1963年式まではローはノンシンクロ
トヨペットクラウンの場合は、1963年モデルで、バックアップランプが半月形をしていて、丸型のテールランプの下にくっついているモデルまでは、3速コラムシフトのローはノンシンクロだった。
1964年、バックアップランプが四角形になって、丸型テールから少し離れたモデルで、初めてフルシンクロ(3速全てがシンクロメッシュ)になった。
昨今は、オートマチック限定免許まであるし、マニュアルミッション車の設定が無い車種まである。オートマチックも、7速、8速が当たり前の時代になった。
「シンクロメッシュ」なんて言葉も、今や死語の世界に行ってしまった様だ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)