隕石から生命の材料である「糖」を発見 東北大などの研究
2019年11月20日 21:32
生命の核として必要な糖の分子が、隕石から発見された。東北大学の古川善博准教授、中村智樹教授、阿部千晶氏(当時博士課程前期2年生)、北海道大学の力石嘉人教授、海洋研究開発機構の大河内直彦上席研究員、小川奈々子主任技術研究員、NASA ゴダード宇宙飛行センターのDaniel P. Glavin研究員、Jason P. Dworkin研究員、そしてJAMSTECなどの共同研究によるものだ。
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地球生命はどこで誕生したのだろうか。地球上で発生したと考えるのが妥当だと見る向きももちろんあるが、それも確証があるわけではない。地球外からやってきた何らかの「素材」が、地球上で生命になったのだと考える向きは今も完全には否定されていない。今回の発見は、その可能性に一つの裏付けを与えるものである。
そもそも、有機物は地球外にも存在する。過去には、隕石からアミノ酸や核酸塩基なども発見されている。だが、核酸を形成するのに必要な糖の分子は、これまでには地球外由来のものは確認されていなかった。
糖が発見されたのは、マーチソン隕石とNWA801隕石と名付けられている隕石で、発見された糖分子はリボースやアラビノースなど。
糖の分子は、50億年以上前、太陽系初期に地球外で形成され、生命誕生前の地球に降り注いだのではないかと研究グループは語る。もちろん証拠は残っていないし、どれくらいの量が降り注いだのかも分からない。だが、地球外を起源とする糖の分子が、他の材料とともに生命の起源になった可能性はある、という。
なお、詳細はProceedings of the National Academy of Sciences, USA(米国科学アカデミー紀要)に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)