コンビニに迫る働き方改革の波
2019年11月18日 13:39
コンビニエンスストア大手のファミリーマートは、来年3月から加盟店に時短営業を認める方針を打ち出した。これによりセブンイレブン、ローソンに続き大手3社全てが時短営業に踏み切る。
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背景には、来年4月から中小企業にも施行される働き方改革関連法案の影響があると推測される。2019年4月から先行して大企業に対し有休5日間取得義務化が施行。この有休取得義務化が2020年4月から中小企業にも適用される見込みだ。違反した場合、罰則として違反した労働者1人あたり30万円以下の罰金が課される。
なお、企業はパートやアルバイトであっても、6カ月以上勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、原則として10日の有給休暇を付与する必要がある。そのためコンビニ加盟店であっても、アルバイトに対し有休取得を認めなければならない。
経産省では、今年3月に「コンビニ調査2018結果概要」を発表。調査では、コンビニ加盟店の61%が従業員が不足していると回答した。さらに34%は従業員は足りているが、何かあれば不足する状態に陥ると回答。コンビニ加盟店は深刻な人手不足の中、働き方改革の影響により24時間営業がさらに難しくなると想定される。
コンビニエンスストア各社は、大量出店により店舗数が飽和状態にある。特定地域に集中的に出店する「ドミナント戦略」をとってきたことにより、同じ地域で人手を奪い合う状態になり、より一層人手不足に拍車をかけてきた。そのような中で、今年10月にはセブンイレブンが不採算店舗を1,000店閉鎖・移転すると表明。
さらには最低賃金の上昇がコンビニ経営に大きな打撃を与えている。東京都の最低賃金は2019年10月に985円から2.8%上昇し1,013円になった。あくまで上昇するのは最低賃金だが、たとえ賃金が2.8%上昇しても、すぐに売上高が2.8%以上伸びるわけではないため、賃金上昇は、コンビニ加盟店の経営を圧迫する。
働き方改革の影響に加え、人手不足や最低賃金の上昇。24時間営業から時短営業への転換、そして大量出店戦略の見直しなど、時代の変化を背景に、コンビニ業界は今まさに転換期を迎えている。