ナスカの地上絵が新たに143点発見、AIによる発見も 山形大の研究
2019年11月17日 15:46
ナスカの地上絵が、新たに143点発見された。うち1点は、日本IBMのAIを活用して探索され発見されたものだ。山形大学の坂井正人教授らの研究によるものである。
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ナスカの地上絵は1994年に登録された、ペルーにある世界遺産である。現在の正式な世界遺産としての名称は、「ナスカとパルパの地上絵」という。もともとは1939年に、考古学者ポール・コソック博士が発見したものである。名前の通り地上に描かれた巨大な「絵」であり、空からでないと全体像が把握困難で、飛行機もない社会の人々が何のつもりでこのような作品を残したのかなど、謎の多い人類遺産だ。
坂井教授のグループは、2004年からこのナスカの地上絵の研究に取り組んでいる。その間には新たな地上絵の発見もあり、保護活動も推進してきた。だが、保護活動も分布調査も決していまだ十分ではなく、周辺に市街地の開発が行われるなどの事情もあって破壊が進み、問題となっている。
グループは、2010年から、人工衛星画像、航空レーザー測量、現地踏査などによって地上絵の探索を行ってきた。特に、ナスカ台地西部の小道にそって地上絵が集中的に描かれたのではないかとする仮説を立てたのがうまくいき、これによって142点の地上絵が現地踏査によって発見された。
収集したデータは膨大であり、しかも高解像度の三次元画像である。目視で作業を続けていては何年かかるか分からない。そこで、IBMのAI、IBM Watson Machine Learning Community Editionを用いてデータの一部を分析してみたところ、いくつかの有望そうな候補が発見された。それらを現地踏査したところ、ナスカ台地西部に新たに発見されたものが表掲の地上絵である。なお、この地上絵は全長5メートルと小型だ。
今後、さらにAIを用いた探索を進めていく方針であるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)