はやぶさ2、小惑星リュウグウから地球に向けて出発 JAXA
2019年11月15日 08:55
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13日、小惑星探査機はやぶさ2が、10時5分に小惑星リュウグウから地球に向けて出発したことを確認したと発表した。
【こちらも】「はやぶさ2」が地球帰還に向けて旅支度を開始
■生命起源の謎を明かす小惑星探査機
はやぶさ2は、小惑星イトカワを探査したはやぶさに続いて打ち上げられた小惑星探査機だ。イトカワもリュウグウも火星と木星とのあいだに存在する小惑星群のうち、地球近傍に存在するアポロ群に属する小惑星である。だがイトカワが主にケイ素質を含むS型小惑星であるのに対し、リュウグウは炭素質コンドライトが主成分のC型小惑星に属する。
炭素質コンドライトは有機物を含むいん石であり、生命起源の謎を解く鍵が隠されている。そのため、イトカワに続く探査対象として、JAXAはリュウグウを選定したという。JAXAによると、はやぶさ2のミッションはC型小惑星における物質の特性を撮影やサンプル収集等によって調査することや、小惑星の形成過程の研究に充てられる。また、はやぶさにも搭載されたイオンエンジン等の安定した運用確認や、衝突体をリュウグウに当てる実証実験も実施された。
■NASAによる小惑星ベンヌ探査との協力も
2014年12月に打ち上げられたはやぶさ2は、2018年6月にリュウグウに到着した。着陸場所を選定するための撮影が行われたのち、2019年2月と7月の2回、タッチダウンに成功している。約18カ月間の滞在中にリュウグウからのサンプル収集など当初のミッション終了を確認できたことから、帰還フェーズへと移行した。
リュウグウの上空20キロメートルのホームポジションと呼ばれる場所から、毎秒約10センチメートルで遠ざかる方向へと移動を開始した。18日までの5日間はリュウグウの最後の撮影を続けるという。イオンエンジンの試運転を19日から12月2日まで実施し、12月3日以降に巡航運転に入ることが計画されている。
JAXAによると、米航空宇宙局(NASA)による小惑星探査機「オシリス・レックス」による小惑星ベンヌの探査ミッションとも協力するという。ベンヌもまた炭素質コンドライトを含み、両探査機のサンプル交換が取り決められている。
はやぶさ2は、2020年末頃に地球に帰還する予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る)