南鳥島沖でプチスポット型の深海火山を発見 東北大などの研究
2019年11月13日 16:58
南鳥島の南東およそ90キロメートルの海底でプチスポット火山が発見された。有人潜水調査船「しんかい6500」とその支援母船「よこすか」の航海によるもので、東北大学、京都フィッション・トラック、千葉工業大学、東京大学、海洋研究開発機構、金沢大学、海上保安庁、学習院大学、静岡大学、国立科学博物館が共同研究に参加している。
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南鳥島は日本国の最東端にある島である。本州から1,800キロメートル、最西端の与那国島からだと3,140キロメートルある。行政上は東京都小笠原村であるが、一般の定住者はいない。だが自衛隊や気象庁などの関係者が常駐しているので、完全な無人島というわけではない。一般には混同されがちだが、小さな岩だけで出来ている島の方は日本最南端の沖ノ鳥島である。
今回発見された火山はその南鳥島の90キロメートル沖合、水深約5,200メートルの深海の底で見つかったわけだが、プチスポット火山とは何であろうか。
プチスポット火山は、2006年に三陸沖の太平洋海底で初めて発見された、人類の観測においては新しいタイプの火山である。従来、火山というものはプレート発散型境界、プレート収束型境界、ホットスポットの3種類があるとされてきたが、そのいずれにも属さないものであったため、新たにプチスポットと命名されたのだ。
プチスポット火山は珍しいものではないらしく、2006年以降世界各地で発見されている。ただ今回の南鳥島沖は、太平洋プレートの中でもっとも古い年代、つまり約1億6,000万年前に形成されたもので、周囲には白亜紀(1億4,000万年前~6,000万年前)の古い火山しか見つかっていなかった。
採取した溶岩から判明したことによると、この火山が最後に活動したのは300万年以上昔のことであるという。
研究の詳細は、Deep-Sea Research Part Iに発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)