整骨院・マッサージ業界、市場拡大も小規模業者の倒産増加 帝国データバンク調査
2019年11月12日 20:33
帝国データバンクが整骨院・療術・マッサージ業者の経営状況について発表し、新規出店などにより市場が拡大しつつある一方、競争が激しくなることで小規模な業者の倒産が増えていることも分かった。
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■市場規模は2,000億円超に
11日、帝国データバンクが整骨院・療術・マッサージ業者の経営実態調査の結果を発表した。これは、同社の企業概要ファイル「COSMOS2」から、2018年度決算の年収入高が判明した整骨院・療術・マッサージ業者2090社分を抽出・分析したもの。
2,090社の中から3期連続で決算が判明した1,888社について収入高合計を計算したところ、2016年度は1,826億4,200万円、17年度は1,945億7,900万円(前年度比6.5%増)、18年度は2,038億4,800万円(同4.8%増)となり増加傾向にあることが分かった。柔整師の国家資格者が運営する「整骨院」の新規参入が相次いだことや、高齢者を中心としたリピーターの増加が要因となった。
さらに、17、18年度の決算が判明した1,997社のうち、18年度に増収となったのは356社(全体の17.8%)、減収は248社(同12.4%)、横ばい(増減率3%未満)が1,393社(同69.8%)だった。
■小規模業者が8割超
前述の1,997社のうち、収入高が1億円未満の業者が1,656社(全体の82.9%)、また、18年度決算の判明した2,090社のうち、従業員数が10人未満の業者が1,702社(同81.4%)となっており、小規模な業者が8割以上を占めていることが分かる。
2,090社のうち、業歴が10年未満の業者は759社(同36.3%)。整骨院を中心に近年新規参入者が相次いだことで、業歴が短い企業の割合が増えているという。ただし、10年以上30年未満が946社(同45.3%)、30年以上50年未満が295社(同14.1%)、50年以上100年未満が87社(同4.2%)、100年以上が3社(0.1%)と歴史の長い業者もある。
■小規模業者の倒産が増加
2000年以降における整骨院・療術・マッサージ業者の倒産件数の推移をみると、2005年までは1桁台だったものが、それ以降に増加傾向となり、18年には過去最高の85件にまで増えている。19年は10月までで78件の倒産件数となっており、最高件数を更新しそうな勢いだ。
近年は競争激化を背景に小規模な業者の倒産が増えており、「鍼灸マッサージやカイロプラクティック、リラクゼーション業者と競合となり、淘汰が加速する可能性」を指摘。加えて、保険診療が厳格化されつつあることで骨格矯正、マタニティ―整体、猫背矯正などの自由診療に力を入れる業者が増える状況もあるとしている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)