ホテル・旅館業やクリーニング業で景況感が悪化傾向に 日本公庫調査

2019年11月11日 08:30

 日本政策金融公庫が7月から9月の生活衛生関係営業の景気動向を発表し、指数こそ2期ぶりに前年同期比プラスとなったものの、厳しい状況が続いていることが分かった。

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■景況判断DIは2期ぶりに改善

 8日、日本生活金融公庫が2019年7月から9月における生活衛生関係営業の景気動向等調査結果を発表した。景況判断DI(動向指数)は-21.9で、前年同期の-23.9から2.0ポイントの増加となり、2期ぶりに改善した。

 業種別で好転したのは氷雪販売業(16.4、前年同期比16.4ポイント増)、美容院(-19.0、同0.4ポイント増)、映画館(27.3、同14.0ポイント増)の3業種のみ。クリーニング(-45.8、同52.1ポイント減)、公衆浴場(-43.5、同15.1ポイント減)など他の6業種は悪化している。

■クリーニング業が売上・採算ともに悪化

 売上DIは-21.3で前年同期の-25.5から4.2ポイント増加し、2期連続で改善している。業種別では、映画館(34.5、前年同期比13.1ポイント増)など5業種で改善し、ホテル・旅館(-10.2、同16.8ポイント減)、クリーニング(-37.1、同21.4ポイント減)など4業種で悪化した。

 採算DIは-3.5で前年同期の-6.7から3.2ポイント増加し、3期連続で改善が続いている。業種別では、氷雪販売業(10.9、同22.0ポイント増)など5業種で改善し、クリーニング(16.9、33.6ポイント減)など4業種で悪化した。

■映画館が利用客数・客単価ともに改善

 利用客数DIは-26.3で前年同期の31.5から5.2ポイント増で、2期連続の改善。業種別では映画館(27.3、25.5ポイント増)など3業種で改善し、ホテル・旅館(-18.1、同14.3ポイント減)、クリーニング(-40.2、同17.4ポイント減)など6業種で悪化した。

 客単価DIは-12.7で前年同期の-14.9から2.2ポイント増でこちらも2期連続で改善した。業種別では映画館(16.4、同20.0ポイント増)など3業種が改善し、クリーニング(-33.0、同11.3ポイント減)など5業種で悪化。食肉・食鶏肉業(-25.5)が変わらずだった。

■日韓関係の悪化が旅館・ホテル業に影響

 19年10月から12月期の業況判断DIは-23.4と予測しており、7月から9期より1.5ポイントのマイナスになるとともに、前年同期の-22.7からも0.7ポイントのマイナスとなる。

 地域の特徴的な動きでは、飲食業や旅館・ホテル業で日韓関係の悪化をあげたところが目立つ。ただし「外国人を含む観光客の客足が途絶えない状態が続いており」(石川県、そば・うどん店)、「ツアー客や、南部九州高校総体の選手・応援等の連泊宿泊の需要で稼働率が安定して高く、好調に推移している」(熊本県、ホテル・旅館業)など好調なところもある。

 ラグビーワールドカップは「(合宿キャンプ地だったが)飲食は宿泊施設内ですませていたようで、ほとんど恩恵はなく」(埼玉県、社交業)、「宿泊予約は少ない状況」(兵庫県、ホテル・旅館業)のように期待ほどではないとのこと。

 人手不足については「(板前やホール係の人手不足で)お客の予約を制限せざると得なくなっている」(青森県、そば・うどん店)、「(スタッフ不足で)10月から昼間のランチ営業だけに縮小せざるを得なくなった」(宮崎県、その他飲食店)などの意見が寄せられている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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