ウィーワークの株主が孫氏らを提訴

2019年11月10日 18:05

 ロイター通信などの報道によると、ウィーワークの元従業員である少数株主が、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長や、ウィーカンパニーのアダム・ニューマン前CEOらを集団で提訴した。運営するウィーカンパニーは、9月末に上場計画を撤回し企業価値が急減。元従業員などの提訴は、価値減少よる損失の補填を求めるもの。

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 米ウィーカンパニーは、2010年に設立されたスタートアップ。コワーキングスペース「ウィーワーク」を9月末時で世界23カ国、600カ所以上に展開するなど、上場を目指し急拡大してきた。

 一般的なオフィスを借りる際に要求される長期契約などの条件や、内装工事等にかかるコスト負担が小規模事業者にとって高いハードルとなっている点に注目し、スタートアップやフリーランスをターゲットとし事業を開始。その後2016年頃より大企業向けサービスを充実させ、直近の発表では、50万を超えるグローバル企業会員のうち38%をフォーチュン・グローバル500企業が占めていた。

 だが上場計画の中止により資金繰りがタイトとなり、ソフトバンクグループから資金支援を受けると発表したばかりだった。

 ソフトバンクグループは、ウィーカンパニーが日本に進出する前の2017年に初回の投資を実行。ウィーカンパニーの企業価値が拡大する中、ソフトバンクグループの孫会長兼社長は同社について、「ソフトバンク・ビジョン・ファンドの中でも中核的な会社になる」(2018年5月)、「高い成長率が今後10年続いていく」(2019年8月)などと高く評価する発言を繰り返してきた。

 一方、ウィーカンパニーは9月末、収益性に対する投資家からの懸念の高まりを受け、IPO目論見書の取り消しを申請し、上場計画を延期。投資家向けの説明資料によれば、非中核事業の売却や人員削減を検討中とのこと。展開するオフィススペースの平均稼働率も昨年比で下落しており、一部地域での事業縮小が噂されている。

 ロイター通信によれば、孫氏と、ウィーカンパニーのアダム・ニューマン前CEOおよび同社幹部を提訴したのは、元従業員でもある複数の少数株主。同社の企業価値は年初から8割以上減少したとの見方があり、株主らは損失補填を求めている。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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