10月の景況感、増税と自然災害で3カ月ぶりに悪化 帝国データバンク調査
2019年11月8日 17:38
帝国データバンクが10月の景気動向を発表し、消費税の増税や自然災害の影響などで小売業が大きく悪化しただけでなく、その他の多くの業界でも悪化したことが分かった。
■景気動向指数が3カ月ぶりにマイナス
6日、帝国データバンクが10月の景気動向調査結果を発表した。2019年10月の景気DI(動向指数)は前月から1.1ポイント減の43.9となり、3カ月ぶりに悪化した。
アメリカと中国の貿易摩擦の緩和を期待した株価上昇や、ラグビーワールドカップの盛り上がりなどは好材料となったが、10月からの消費税アップや、台風などの自然災害、海外経済の減速にともなう輸出低迷や設備投資意欲の減少、建設着工の減少傾向、人件費の負担増などマイナス要因が重なった。
■小売業界が大幅悪化
業界別の景気DIでは、農・林・水産が42.3(前月比0.5ポイント増)、その他が43.1(同1.0ポイント増)と、この2業界のみ改善した。
一方で金融が45.4(同0.4ポイント減)、建設が52.1(同1.0ポイント減)、不動産が45.9(同2.1ポイント減)、製造が40.3(同0.3ポイント減)、卸売が39.9(同1.5ポイント減)、小売が37.0(同5.6ポイント減)、運輸・倉庫が44.9(同1.1ポイント減)、サービスが50.6(同0.4ポイント減)と悪化している。
3カ月ぶりに大幅悪化となった小売業界は、消費税アップによる買い控えや駆け込み需要の反動と自然災害が影響した。5.6ポイントものマイナス幅は調査開始以来3番目に大きい数字で、消費税が8%にアップした2014年4月(10.7ポイント減)、東日本大震災のあった2011年3月(6.0ポイント減)に次ぐものとなった。
■規模別では3カ月ぶりに全て悪化
企業の規模別では、大企業が47.1(前月比0.9ポイント減)、中小企業が43.2(同1.0ポイント減)、小規模企業が43.9(同1.2ポイント減)となり、3カ月ぶりに全ての規模で悪化した。
地域別では四国が44.4(同0.5ポイント増)と改善した以外は、9地域で悪化した。近畿が42.2(同1.7ポイント減)、東海が43.6(同1.6ポイント減)、北陸が42.1(同1.4ポイント減)、東北が41.9(同1.3ポイント減)、北関東が40.9(同1.3ポイント減)、中国が44.0(同1.0ポイント減)と悪化幅が大きめ。北海道が45.7(同0.9ポイント減)、南関東が45.5(同0.6ポイント減)、九州が46.5(同0.6ポイント減)と比較的悪化幅が小さかった。
■不透明感が一層強まる
11月の景気DIは10月比0.1ポイント減の43.8を予測。それ以降も横ばいの月こそあるものの、ほぼ悪化傾向が続き2020年10月には41.3を予測し、「不透明感が一層強まっている」としている。
人件費や輸送費などのコスト増、世界経済の減速をマイナス要因として、アメリカと中国の貿易摩擦、世界的な金融緩和に注視が必要している。その反面、自然災害からの復興需要や、東京オリンピックをきっかけとする都市部の大規模再開発や省力化投資を好材料にあげている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)