9月の小売販売額は前年比9.1%増、増税前の駆け込み需要が大きく影響
2019年11月6日 18:19
経済産業省が10月30日に発表した「商業動態統計(速報)」によると、9月の小売業販売額は前年同月比9.1%増となる12兆5,890億円で、2カ月連続プラスとなった。前回行われた消費増税の直前月である2014年3月以来の高い伸び率となり、経済産業省は9月の基調判断を、8月の「一進一退」から「増加している小売業販売」へと上方修正した。
【前月は】8月の小売業販売額は前年比2.0%増、2カ月ぶりにプラス
小売業販売額を業種別にみると、プラスとなったのは「機械器具小売業」(前年同月比37.9%増)、「自動車小売業」(同16.9%増)、「医薬品・化粧品小売業」(同16.4%増)、「無店舗小売業」(同15.4%増)、「各種商品小売業」(同13.9%増)、「その他小売業」(同11.3%増)、「織物・衣類・身の回り品小売業」(同1.7%増)、「飲食料品小売業」(同1.1%増)など。
前年を下回ったのは「燃料小売業」(同0.4%減)のみで、9業種中8業種が前年越えとなった。特に、家電などの機械器具小売業は消費増税前の駆け込み需要の影響を大きく受け、冷蔵庫やエアコンなどの生活家電をはじめ、4Kテレビ、パソコンの売り上げが大幅に伸びた。
業態別の販売額では、「百貨店」が前年同月比22.1%増となる5,615億円(既存店ベースでは22.8%増)、「スーパー」が同5.4%増となる1兆1,102億円(既存店ベースでは同4.4%増)、「家電大型専門店」が同52.4%増の5,154億円、「ドラッグストア」が同21.8%増の6,265億円、「ホームセンター」が同16.8%増の3,026億円だった。
百貨店は前回消費増税時の2014年3月以来の伸び率となり、特に主力商品である衣料品が好調で「その他衣料品」(前年同月比47.3%増)、「身の回り品」(同32.1%増)、「婦人・子供服・洋品」(同16.7%増)、「紳士服・洋品」(同13.2%増)と軒並み前年を大きく上回った。
スーパーも主力商品の「衣料品」(同8.7%増)、「食料品」(同1.6%増)が販売を伸ばした。家電量販専門店は「生活家電」(同71.2%増)、「AV家電」(同60.0%増)、「情報家電」(同52.8%増)が駆け込み需要により販売額が前年から大幅プラス。
ドラッグストアは「ビューティケア(化粧品・小物)」(同31.1%増)、「家庭用品・日曜消耗品・ペット用品」(同27.9%増)、「トイレタリー」(同27.6%増)などが売り上げを伸ばし、ホームセンターは「家庭用品・日用品」(同29.8%増)、「園芸・エクステリア」(同23.9%増)、「インテリア」(同21.5%増)などが好調だった。
一方、前年割れとなったのが「コンビニエンスストア」で、前年同月比0.2%減となる1兆203億円。特に「非食品」が同8.5%減と販売額が振るわなかった。他の業態とは異なり、コンビニは消費増税前の駆け込み需要の恩恵を受けられなかったと言える。(記事:荒川・記事一覧を見る)