メガネ・時計店の倒産件数、2019年は前年比2.8倍 小規模店厳しく 東京商工リサーチ調査
2019年10月30日 07:36
東京商工リサーチの発表によると、街中にあるような小規模なメガネ・時計店の倒産や廃業などが増えており、今後もさらに厳しい状況に陥ると見込みであることが分かった。
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■倒産件数が前年比2.8倍に
28日、東京商工リサーチが2019年1月から9月におけるメガネ・時計店の倒産状況を発表した。同期間内におけるメガネ・時計店の倒産件数は14件で、前年同時期の5件から2.8倍になっている。
■倒産件数が増加の兆し
2000年以降の倒産件数の推移をみると、2000年の33件、2002年の30件、2001年と2006年の28件のように、2000年代当初は年間20件を超えていたものの、2012年に22件となって以降は10件台で推移し、2018年は7件と初の1桁台に留まっていた。
2019年は現在のペースで進むと、倒産件数は19件程度が予測され、直近では2010年の18件を超えて2012年の22件に迫る数字となる。
■休廃業・解散は過去最高を更新する可能性も
また、2018年におけるメガネ・時計店の休廃業・解散は95件で、前年の73件から22件増となっている。2000年以降を振り返ると、2004年の19件からほぼ増加傾向にあり、2016年の87件から2017年こそ73件と減ったものの、2018年になって再度増加するとともに過去最高の件数を更新している。
2019年における休廃業・解散件数は発表していないものの、倒産件数が急増したことから、「市場から撤退する企業は2000年以降で最多の2016年(103件)を上回る可能性が高まっている」と推測している。
■サービスだけでも生き残りは困難に
倒産した14件の内、最も多かった原因は販売不振の10件、負債額では1億円未満が11件となり、小規模なメガネ・時計店が販売不振により倒産することが増えている。
総務省統計局によれば、1世帯当たり年間支出金額ではメガネの支出が減る一方、コンタクトへの増加が増えており、腕時計への支出も、2003年の2,547円から2018年は1,482円に減少した。
メガネ業界では低価格チェーン店が展開しており、電池交換や修理などのサービス価格も低下傾向にあるから、「多様なニーズの把握と特徴ある店作りが明暗を分ける時代に突入している」という。(記事:県田勢・記事一覧を見る)