喫茶店の倒産が急増、大手やコンビニとの競争激化 人手不足も背景
2019年10月29日 09:24
喫茶店と言えばかつては個人経営店舗が主流で全国どこでも駅前にはそうした喫茶店が数店舗は存在していた。しかし、既に数十年前よりコーヒー原価や粗利幅の縮小、生活様式の変化、大手チェーンの展開等により個人経営の喫茶店は減少傾向で推移してきた。今年に入りこの減少傾向が再び急加速しているようだ。
東京商工リサーチが13日に2019年1月~8月時点での「喫茶店」の倒産状況に関するレポートを公表している。レポートによると喫茶店の年間倒産件数は05年から急増し、11年には20年間で最多の70件を記録した。11年の増加は東日本大震災とコーヒー豆の価格高騰が背景にあった。その後は豆価格も落ち着きをみせ、中小企業の資金繰り支援策の効果などもあり、喫茶店の倒産は一進一退で推移してきた。
しかし、このところ人手不足の深刻化により従業員の確保が難しくなってきたことや、大手コーヒーチェーンやコンビニとの競争が激化してきたことなどにより小規模喫茶店の脱落が増加、19年8月までの8カ月間の倒産件数は42件にのぼり、倒産が急増する事態になっている。16年の年間の倒産件数は44件、昨年18年は54件であったので今年の急増ぶりが目立つ。
負債合計は10億2800万円で前年同期比91.4%増、負債10億円以上の大型倒産はなく、負債1億円未満が40件で全体の95.2%を占め、中でも5千万円未満が88.0%を占めている。資本規模別では、「個人企業ほか」が27件で前年比22.7%の増加、構成比は64.2%と小・零細規模が6割超えとなっている。次いで100万円以上500万円未満が6件で50.0%増、構成比14.2%、100万円未満が4件で300.0%増、構成比9.5%の順で5000万円以上の倒産はなかった。
地域別では、喫茶代の支出が多い岐阜市や名古屋市のある中部が16件で全体の38.0%を占め最多。中でも愛知県が13件で構成比が30.9%と全国の3割を占めている。
倒産原因は販売不振が全体の83.3%を占めており、昔ながらのコーヒーへのこだわりが価格転嫁や新商品開発の遅れにつながっていることも販売不振の要因とレポートでは見ている。
10月に消費増税が実施されるが喫茶店には軽減税率は適用されない。「消費税率8%と10%の2%の差が、さらに喫茶店の倒産、廃業を加速させるかもしれない」とレポートは指摘している。(編集担当:久保田雄城)