ペルム紀末の大量絶滅に新説、宇宙塵が原因か 東大などの研究
2019年10月21日 06:24
地球史上最大の大絶滅はペルム紀末に起こった。いわゆるビッグファイブと呼ばれる5大大絶滅の1つで、約2億5,100万年前のことである。従来、スーパープルームと呼ばれる大規模火山活動が原因と言われてきたのだが、東京大学などの研究グループはこれに異を唱えることになる新説を提唱した。
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研究に参加しているのは、九州大学の尾上哲治教授、東京大学の高畑直人助教、佐野有司教授、磯崎行雄教授、千葉工業大学の佐藤峰南上席研究員、東京工業大学の石川晃准教授、熊本大学の曽田勝仁博士研究員ら。
ペルム紀末、P-T境界において発生した大絶滅は、当時存在していた生物種の90%以上を絶滅に追いやったと考えられている。中でも有名な例としては、三葉虫がこの時に絶滅している。原因としては、シベリアで洪水玄武岩が噴出するという大規模な火山活動が引き起こした、という説が従来最も有力であった。
今回の研究は、岐阜県にあるチャート層と呼ばれる地層の、ヘリウム同位体と白金族元素について分析を行ったものである。このチャート層は、P/T境界の前後の地層的変化を克明に記録しているものとして、非常に重要な価値があるのだという。
分析の結果として、大絶滅の直前、地球外物質に特徴的な同位体比のヘリウムやイリジウムが増加していることが分かった。この分析結果から類推すると、ペルム紀末の大絶滅は、宇宙から大量の塵が降り注いだことが原因だったのではないか、と考えることもできるわけである。
この大絶滅が地球外からの物質によって引き起こされたという説はこれが初めてではないというが、科学的証拠に基づく仮説の提唱として、今回の報告は重要なものであるといえる。
なお研究の詳細は、地学雑誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)