HARE 2020年春夏メンズ・ウィメンズコレクション 日本の“ハレの日”に向けて
2019年10月20日 23:04
HARE(ハレ)の2020年春夏メンズ・ウィメンズコレクションが2019年10月17日(木)に渋谷ヒカリエにて発表された。
今季のテーマは「ハレ(HARE)」。ブランド名にも重なる“ハレ”は、日本人の伝統的な世界観のひとつだ。そして、HAREが東京コレクションデビューシーズンでテーマに掲げた言葉でもある。
日本における“ハレ”は、儀礼や祭など日常のうちの非日常を表す言葉だ。その言葉を再び登場させたのは、東京オリンピックの開催年である2020年、スポットライトを浴びる日本にとって特別な日が続く、すなわち“ハレの日”が続くことに対して、賞賛の意味もあるのだろう。
■“ハレの日”を目の前に、日本の文化に目を向ける
“ハレの日”を目の前に、日本文化に改めて目を向けた。だからこそ、今回のショーは日本らしさが満載だ。
ウィメンズではトップスに帯のようなデザインをプラスしたり、メンズのオーバーコートには着物の袖のシルエットを取り入れたりと、和服のディテールが多用されている。ボトムスは袴やモンペ、クラシックなはずのジャケットはほのかに平面的で肩衣を想わせる。
しかし、古いものをそのままではなく、あくまで新しいものに馴染ませるかたちで。着物独特の前合わせのディテールは、アシンメトリーのロングベストに名残を感じさせ、さらにプリーツやスリットが施されることで機能的で、モダンな動きを見せている。
■今と昔の融合で生み出す軽やかさ
素材では、シアサッカーやオーガンジー、テクニカル素材など現代的なファブリックが軽やかさを生み出しているのが印象深い。春夏のアクティブな印象を促すメッシュの存在も目を引いた。もともと和服に使われる絞りのようなファブリックも混ざり合い、柔らかなジャケットやパンツに和の表情を浮かばせた。
時折混ざる和の要素として、歌舞伎プリントが力強く配されている。また、それらを彩るカラーリングには、黒や白、さらに日本を想わせる朱などを交えながら表現。昔は高貴な色とされていた紫色は、今季のテーマを捉えるにふさわしい選択だ。
■“日本の文化”をモードに捉えたシューズやアクセサリー
今季はコラボレーションも多彩。特に小物では、静岡の下駄メーカーである「みずとり」や、“ひらがな”をデザインに用いるアクセサリーブランド「ひらがな(Hiragana)」とコラボレーションしている。
シャークソールのウィメンズサンダルやビブラムソールのメンズスニーカーなど機能的なシューズがある一方で、視線を奪った「みずとり」とのコラボレーションによる下駄は、鼻緒に着物の残布を用いてサステナビリティも意識したという。HAREの提案するモダンなワードローブに馴染みつつ、温故知新をその1足で表現している。