赤潮の原因となる藻の遺伝子配列を解読 水産研究・教育機構などの研究

2019年10月18日 08:00

 シャットネラは赤潮の原因となる藻の一種である。水産研究・教育機構と基礎生物学研究所は、このシャットネラの遺伝子配列を解読、データベースを公開した。

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 赤潮というのはプランクトンの異常繁殖によって海や川などが変色する現象の総称である。原因となる構成生物は多岐に渡り、またその種類によってどのような色に変色するかは異なる。

 シャットネラは海に産するラフィド藻の一種で、赤潮の中でも魚類に大規模な窒息死をもたらすかなり厄介な種であり、特にブリの養殖に対する経済的被害が大きい。日本で初めて観測されたのは1969年のことで、以来ほぼ毎年瀬戸内海を中心に発生し、1972年夏には約71億円という史上最悪の被害を出した。近年に至るも数十億円規模の被害がまま見られる。

 赤潮を直接的に駆除する技術や方法は長年に渡り研究されている。しかし、残念ながら実用化に至ったものはいまだ一つもない。養殖魚を生簀に避難させるなどの副次的な対策は効果があるが、色々と弊害もあり、現場にしてみれば苦肉の策というところである。そこで、赤潮の発達や衰退を正確に予測する技術も希求されている。

 だがさらに残念なことに、赤潮の発生予測に関する研究も、こちらも長年に及ぶのだが実用化には至っていない。赤潮藻の増殖、遊泳力などのデータが必要なのだが、これらを簡便に計測する技術も確立されていないのである。

 今回の研究では、シャットネラ・アンティーカの遺伝子配列を次世代シーケンサーによって解読した。完成度の高いデータを得ることができたため、そこから赤潮発生に関連する遺伝子候補を探索したところ、窒素・リンの代謝、光シグナルの受容、光合成、そして活性酸素の産出に関する遺伝子などを同定できたという。

 研究の詳細はFrontiers in Microbiology誌に公開されており、また遺伝子配列に関するデータは下記ウェブサイトに公開されている。http://hab.nibb.ac.jp/(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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