まとふ、2020春夏コレクション発表 「藍の源流」テーマに伝統的な藍染をモダンに表現
2019年10月8日 17:27
「まとふ(matohu)」が2019年10月7日、東京都渋谷区のまとふ表参道本店で2020春夏コレクションを発表した。 2019春夏コレクションから続く「手のひらの旅」シリーズ第三弾となる今シーズンのテーマは、”藍の源流”。「手のひらの旅」は、デザイナーの堀畑裕之と関口真希子が「手仕事」を求めて旅をし、そこで出会った伝統的な技法を取り入れたコンテンポラリーなコレクションを紡ぎあげ、さらにはその土地や人の魅力も映像で発表するプロジェクトだ。今回は、徳島県に訪れ「藍」に焦点を当てた。 徳島県は、江戸時代「阿波」と呼ばれ、藍染の染液の元である「すくも」の国内最大の生産地だった。だが化学藍の流行により藍染は衰退し、現在「すくも」を作る藍師は5軒しかないという。「藍畑に広がるみずみずしい葉に触れると、衣服や染色も昔は全て農業だったんだなと実感しました。実際に藍染の服を着ていると、植物の命をもらって染めた、藍の命が詰まった洋服なんだと感じられました」と堀畑氏。現地で得たインスピレーションと、手仕事で協力してくれた人たちの想いをコレクションに乗せた。
糸から染めた「絣(かすり)」で紡いだセットアップは、徳島で感じた水の恩恵を、さざ波をイメージして表現したもの。そして、段染めでグラデーションにしたジャケットは、和紙を細く裁断して作った糸を使用。通気性に優れ、軽やかな着心地を実現した。サッカー生地に見えるパンツは、徳島の伝統的な織方である「しじら織」で紡がれている。ろうけつ染のパターンが印象的なコートは、立体的なカットで仕上げられた特徴的なコーデュロイのパンツと合わせてモダンなスタイリングを見せた。また、金属を藍染にしたイヤリングなど、藍の魅力を最大限に引き出したアクセサリーも登場。
「過去から現代へ、伝統として伝えられていることこそ、本当のサステイナブルだと思う」と、堀畑氏は語っていた。
「まとふ(matohu)」2020春夏コレクション
取材・文:アパレルウェブ編集部
撮影:塩見徹