オンワードHD、通期予想を下方修正 240億円の赤字に 数百店舗の閉鎖で
2019年10月4日 20:39
■通期損益は240億円の赤字に修正
オンワードHD(8016)は4日、20年2月期第2四半期の連結累計決算(3~8月期)を発表。売上高は前年同期比4%増の1,184億6,600万円だったが、営業損益は8億6,100万円の赤字(前年同期は6億600万円の黒字)、経常損益は8億1,700万円の赤字(同13億4,200万円の黒字)、最終損益は244億3,200万円の赤字(同14億7,900万円)となった。
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3日には業績予想の修正を発表しており、20年2月期の通期業績予想は、売上高は修正なしの2,560億円を見込む一方、営業利益が前年比73.1%減の12億円(事前予想は55億2,000万円)、経常利益が同77.7%減の11億5,000万円(同57億円)、最終損益が240億円の赤字(同55億円の黒字)とした。
■国内外不採算店舗の大規模撤退が下方修正要因
国内大手のアパレルメーカー「オンワード樫山」を傘下に有するオンワードHD。男性向けブランド「五大陸」や女性向けブランド「組曲」「23区」等を始めとするオリジナルアパレルブランドや、ポール・スミスやCKカルバンクラインなどのライセンスブランドを有し、百貨店やショッピングセンターを中心に強い販売網を抱えている。
近年はECの台頭もあり、百貨店等の集客に苦戦し販売不振に見舞われ、リアル店舗運営におけるコストが増加していた。今回の下方修正は、現在国内外で約3,000店舗を運営している中、数百店舗の閉鎖を行うために撤退コストを計上したもので、現在力を入れている直営ECサイト「オンワード・クローゼット」に投資資源を集約する模様。
■活発な動きのアパレル業界 リアルからネットへの動きが加速
アパレル業界では「EC」への流れが加速している。9月12日にはファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを、ヤフー子会社化するというニュースが流れる他、同業のワールドは、ファッションEC企業のM&Aを積極的に行っている。アパレル各社はリアル店舗の撤退やブランドの見直しを行いながら、自社ECサイト化へ舵を切ろうとしている。
大規模な赤字予想となったオンワードHDだが、先行きが真っ暗な訳ではない。実際「オンワード・クローゼット」における売上高は年々右肩上がりに増加している。19年2月期のEC売上高は前期比25.8%増の255億円と順調だ。時代の変化が激しい中、リアルからネットへの事業転換を示す下方修正発表と言えるだろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る)