【どう見るこの相場】低位株に火がつく展開を想定!その参考銘柄とは?
2019年9月30日 10:14
■かつての「ボロ株ファンド」とは・・・
またまた昔語りから始めて恐縮だが、かつて「ボロ株ファンド」が、年に1回だけ注目されることがあった。「ボロ株ファンド」とは、低位株ランキングの1番目から順番に10番目の超低位銘柄までを組み入れて組成する自分流のファンドで、年末になると一部証券専門誌が、新年相場の大化け候補として特集記事を掲載したほどだ。無論、この10銘柄は、ほとんど株価が2ケタで赤字・無配・債務超過ギリギリの限界企業ばかりだが、バブル経済が破綻する以前で、メーンバンク制度や企業系列がまだ立派に機能していた時代だから、銀行や親会社からの役員派遣やら救済資金供給、さらには救済合併などまでのストーリー性のある思惑が底流して動意付く銘柄もあり、何銘柄が値上がりすれば残った銘柄の低空飛行をカバーしてお釣りがくるのかということをセールストークとしていた。
しかし、その後の「失われた20年」の苦境下、メーンバンクや親会社自体も「負の遺産」処理に汲々となって、上場企業が、アッという間に経営破綻する「企業多死」時代には、超低位にある株価だけを材料とする銘柄は危なくて近づけず、「ボロ株フアンド」なるセールストークもほぼ死語と化した。ただ、低位株は、投資金額が競輪・競馬の賭金ほど少額で済み、マネーゲーム的な射幸心をくすぐるものなのか、固定ファンは生きながらえているようで、全般相場が展開難となり停滞色が強まった相場シーンでは、いまでも動意付き、その何銘柄が、値上がり率ランキングの上位に顔を出すのはよく目にするところである。
■週明けは低位株の出番か?
週明けは、どうもこの低位株の出番が回ってくるム-ドとなりそうだ。相場の中心銘柄が、超低金利の恩恵を享受するグロース株(成長株)一辺倒から、米中貿易摩擦の激化や長期金利のやや変調を背景にバリュー株(割安株)も底上げするなど銘柄物色の多様化が進んできており、このトレンドのなかで低位株にも火がつく展開も想定されるからだ。もちろん、単に株価が低位にあるだけでストーリー性に欠けては、買い人気が高まることはありえない。そこで参考にしたいのが、前週末27日に急騰したオルトプラス<3672>(東1)とノムラシステムコーポレーション<3940>(東1)である。オルトプラスは、ストップ高して年初来高値を更新し、ノムラシステムも、東証1部値上がり率ランキングの第6位に浮上したが、この2銘柄には共通項があるからだ。
共通項とは、2銘柄とも東証が有価証券上場規程の第445条で望ましい投資単位としている5万円以上、50万円未満の下限を下回っていたことである。投資単位が5万円前後となっている銘柄は、東証第1部でおよそ100銘柄あり、上場規程のクリアのためにも株価意識を高めることも予想され、ストーリー性のある思惑材料が出易いことにもなる。前週末の米国市場で強まった米中貿易協議の再不透明化やトランプ大統領の「ウクライナゲート問題」による政治リスクが相場全般に逆風となるなか、投資単位5万円の未達会社に「第2のオルトプラス」、「第2のノムラシステム」をリサーチすることも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)