フィンテック市場、官民の取組み活発化 22年度には1兆円市場へ

2019年9月30日 09:32

 フィンテックとは情報・通信テクノロジーを駆使した革新的な金融商品・サービスの開発・提供のことだ。2017年に銀行法が改正され電子決済等代行業の規定がおかれたとともに銀行口座システムと外部業者をつなぐことができるオープンAPIを導入する努力義務が銀行に課された。フィンテックの育成と普及が狙いである。

 矢野経済研究所が6~8月にかけて「国内フィンテック市場に関する調査」を実施、この調査結果を基にフィンテック市場の現況と今後の動向についてのレポートを18日に公表している。

 レポートによれば、金融機関は改正銀行法附則の規定に基づき18年3月までに「電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針」を策定・公表、これを受けて現在APIの公開に向けた整備を進めている。

 また、経済産業省の生産性向上特別措置法に基づき「新技術等実証制度」が設置され、この金融分野としてブロックチェーンや新たな保険商品に関するプロジェクトが金融庁から認定を受けており引き続き積極的な活用が期待されている。

 現在推し進められているAPIの整備はベンチャー企業などとの協業を可能とするインフラであり、これに対する先行投資が重要となる。特に資金移動系のAPI整備には新たなIT投資が必要となり、ベンチャー企業などとの協業を見据えた金融機関の積極的な先行投資が期待される。

 ブロックチェーンのプラットフォーム分野は、これまで実証実験が中心で市場の伸びは限定的であるものの地方銀行によるブロックチェーン活用事例も出てきており活用に向けた動きは広がりつつある。

 クリプトカレンシー(仮想通貨)分野は大規模な不正流出などで業績が低迷したものの市場環境の健全化を最優先に取り組みがなされており今後の成長が見込まれている。

 また、家計簿・資産管理アプリ分野では地方銀行での導入が進んでおり、融資分野ではソーシャルレンディングに加えてAIスコアを用いた新サービスも登場、今後も拡大傾向で推移すると予測されている。

 こうした官民一体となった取組みにより、18年度の国内フィンテック市場の規模は、フィンテック系ベンチャー企業の売上高ベースで、前年度比42.7%増の2145億円、22年度には1兆2102億円にまで拡大すると予測されている。

 API連携による協業やブロックチェーンの商用利用、基盤を固めた暗号資産の広がりが市場拡大のカギのようだ。(編集担当:久保田雄城)

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