多発する高齢ドライバー事故。認知症を防ぐ、3つのポイント
2019年9月22日 21:37
高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となっている。警察庁が発表した運転免許統計(平成20年30年版)によると、75歳以上の運転免許保有者数は年々増加しており、2016年には500万人を超えた。報道などの影響もあって、運転免許を自主返納する高齢ドライバーも増えてはいるものの、高齢化社会の進展とともに、今後ますます深刻な問題となってくるだろう。
高齢ドライバーによる自動車事故の主な原因は、動体視力の低下や体力や筋力の低下、判断力の低下などに起因する運転操作ミスだ。とくに駐車場などでのブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、75歳未満の運転者に比べて高い傾向にあるという。
そして、判断力低下の根底に潜んでいるのが認知症だ。
75歳以上で免許更新を希望する場合、更新手続前に認知機能検査と高齢者講習等を受講する必要がある。しかし、いくら検査に合格したからといっても安心できるものではない。次の更新までに認知症が発症してしまう可能性もあるし、検査に合格したことに安心して、体調や判断能力などに多少の不安を感じていても運転を続けようとしてしまうかもしれないからだ。
認知症の予防や進行を抑えるには、まずは本人、そして家族がリスクを理解し、普段から意識しておく必要がある。認知症も他の病気同様、早期の発見と対応が肝心だ。知らないうちに認知症が進行してしまっていると、車の運転だけではなく、自転車に乗ったり、道を歩いているだけでも事故に遭ったり、ケガを負うリスクが高くなる。
そこで今、認知症への意識が高い高齢者や、50代、60代の人たちの中で、認知症や物忘れの対策アプリを利用する人が増えているらしい。MMD研究所の調べでは、60歳~79歳のシニア層でもスマートフォンの普及率は62%を超えている。高齢者の中には、自分が認知症かもしれないと思ってもそれを認めたくなかったり、家族や周りの人間に知られたくないと考える人も多い。スマホアプリなら、気軽にセルフチェックが行えるし、誰かに知られることもない。定期的に利用することで、不安の解消にもつながるのだろう。
また、認知症の予防につながるサプリメントなどを活用する人も増えている。
中でも注目されているのが「プロポリス」だ。プロポリスは、ミツバチが木の芽や樹液などから集めた樹脂製混合物。天然の抗菌・抗生物質としてしられ、古代ギリシャの時代から、皮膚疾患や切り傷、感染症の治療薬としても使われていたという。
そして近年、山田養蜂場が同社のサプリ「プロポリス300」を使った研究によって、プロポリスに高齢者の認知機能の低下や全身性炎症を改善する効果があることを明らかにしたことで、テレビや雑誌などのメディアにも取り上げられる機会が増え、一気に注目が高まった。
そして、もう一つ大切なのは適度な運動だ。
アプリとサプリで予防に気を配っていても、体力や筋力が落ちてしまったら、認知症の発症リスクは高くなる。運動や身体活動が認知症の発症に関与するかを調査した長期疫学研究でも、高齢者を2.5年から30年間経過観察した24論文の内20の論文で、適度な運動が、認知症の発症に対して防御的な効果があることが報告されている。
具体的には、週3回以上30分以上「歩く」などの運動を行うことで、認知症の発症を減少させる効果が得られるという。また、単純な運動だけではなく、運動中にしりとりをしたり、4の倍数で手をたたくなど、頭の体操も同時に取り入れることで、より効果が高まるとのことだ。
認知症のリスクは誰にでも潜んでいる。家族のため、仲間のため、そして何よりも自分の人生を楽しむために、早くから認知症予防に気を配っておきたいものだ。(編集担当:今井慎太郎)