光格子時計を小型・常温稼働へ カドミウム光格子時計の「魔法波長」決定 理研など

2019年9月17日 08:06

 東京大学の香取秀俊教授が提唱した、光格子時計という次世代の時計がある。試作されているものはストロンチウムやイッテルビウムの原子を用いるのだが、新しくカドミウムを用いた光格子時計が提案され、実用化のためには不可欠な「魔法波長の決定」が実験的に行われた。

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 研究を行っているのは、理化学研究所(理研)開拓研究本部香取量子計測研究室の山口敦史研究員、香取秀俊主任研究員(東京大学大学院工学系研究科教授)らの参加する国際共同研究グループである。

 時代を遡ると、1秒の長さは地球の自転の長さを基準に定められていた。しかしこれには微視的な変動があることが天文学の見地から明らかになったため、現在は1955年に発明されたセシウム原子時計を利用して秒の長さが定義されている。

 セシウム原子時計は画期的発明であったが、さらに精度の高い時計も研究されている。その一つに、日本で提唱された光格子時計がある。レーザーを使って「光の檻」を作り、その中に原子を入れ、光シフトというものを計測する。その光シフトがゼロになるレーザーの波長が、魔法波長と呼ばれるものである。

 現在の光格子時計やセシウム原子時計の中で高精度のものは巨大な装置であり、絶対零度の状態にして稼働させるのだが、カドミウムを利用した新しい光格子時計は、室温で動作させられる上、小型化も可能であるという。

 小型化・常温稼働に成功すると何が重要であるかというと、相対論測地学と呼ばれる分野において、計測器として用いることが可能となるのである。理屈は省くが、その分野の研究が進めば、現状では予想もつかない新しい使い方がされるようになることが期待できるという。

 研究の詳細は、米国の科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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