社会で生きる力を育てるプログラミング教室。「人」を育てるロボ団の想い【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

2019年9月11日 09:40

 【最終回】本連載は、ロボットプログラミング教室「ロボ団」を運営している重見彰則さんによる書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』から、課題発見力と創造力、そして課題を解決するソリューションを生み出す力を培うロボ団のメソッドをお伝えします。

社会で生きる力を育てるプログラミング教室。「人」を育てるロボ団の想い【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

 本連載は、書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』(重見彰則著、2019年6月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは小学生を中心としたロボット制作とプログラミング教室です。日本全国50教室以上、海外でも展開中!体験会・ご見学は随時受付中!

ロボット教室を開催! 子どもが夢中になる姿がロボ団の原型

 はじめてロボット教室を開催したときのことを、今でも私は忘れられません。
 学童保育の中でイベントをいろいろ開催していたので、その一環としてロボット教室も開催してみました。
 すると、子どもたちの食いつきがすごい。学童以外の子どもたちも50人近く集まって、夢中になってロボットを組み立てる姿を目の当たりにし、やはり子どもたちは、「好き」や「楽しい」があるととても大きなパワーを発揮するのだなと感じたのです。

 折しも、前回お話した「グローバル人材育成のための3本の矢」が発表されたタイミングでした。社会に求められる人材を育てるために、英語教育、理数教育、ICT教育という指針を実現する場を作ろうと、2014年に新たな事業をスタートすることに決めたのです。それが、今のロボ団の始まりです。

 「好き」を核にする事業は、今もロボ団の軸となっています。2014年当時、ロボ団に来るご家族で、「プログラミングを学ばせたい」と思って子どもを連れてくる方はほとんどいませんでした。
 一般的には、水泳教室もそろばん教室も、技能面の上達を期待して保護者の方は子どもに勧めます。しかし、ロボ団は違います。だって、考えてみてください。レゴを作れたからといって何かの役に立つわけではありません。当時は、小学校でのプログラミング必修化も決定しておらず、プログラミング技能をつけてほしいとも期待されていませんでした。

 では、どうしてロボ団に子どもを連れてきてくださったのかというと、子どもたちの「やりたい!」という一言があったからなのです。入会した後も、「習い事の中でロボ団だけ異様に行きたがるんですよ」とか「体調を崩して学校を休んでいるのに、ロボ団だけは行きたいっていうんですよ」などと、保護者の方がおっしゃってくださいます。そんなお話を聞くと、子どもたちの「好き」を継続できているのだとすごく嬉しい気持ちになります。

 子どもたちの興味を開発し続けるロボ団の活動の軸は、ブレていません。2014年から今まで、全国100を超えるロボ団の教室で、「好き」を原動力にしたロボットプログラミングの学びが確実に息づいているのです。

母集団を増やすことでプログラミング人材を増やす

 「小学校でプログラミングをする必要があるのでしょうか?」といわれることがあります。プログラミングを小さい頃から学ぶ意味を、子どもたちの立場と社会の視点に分けてお話ししていきましょう。

 子どもたちにとっての意味としては、英語習得で考えていただけるとわかりやすいでしょう。大人になってから勉強すると、英語を習得するのはなかなか難しいものでしょう。しかし、小学校低学年くらいで楽しいアクティビティとして英語に慣れ親しんでいくと、自然と話したり聞くことができたりするようになります。「嫌々」ではなく、楽しみながら学ぶことで、英語を身につけていくことができるのです。だからこそ、抵抗感が少ない小さいうちにプログラミングの学びもスタートした方が得策なのです。

 社会的な意味としては、野球でイメージしてみてください。今、メジャーリーグに行くような選手が出てきているのは、小学生の段階で野球をする子が多くいるからこそではないでしょうか。もし野球に接するのがみんな高校からのスタートであれば、あそこまで素晴らしい選手は出てこないでしょう。

 つまり、優れた人材を生み出すには裾野を広げることが非常に重要なのです。幼少期からプログラミングをする社会的な意味は、プログラミング学習者の母集団を増やすことで、優れたエンジニアが出てくる可能性が増し、社会的に発展していくだろうと予測できることです。

 実際に、日本以外の多くの先進国が小学校段階でコーディングを含むプログラミング学習を導入しています。日本でも、小学校プログラミング教育の導入が決定しましたが、ビジュアル言語の学びにとどまっています。本来であれば、コードプログラミングができるまで学びを深めていくことが大事だと思っています。
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プログラミングがキャリアパスになる

 私はロボ団での学びを、子どもたちのキャリアパスにつなげてほしいと思っています。今、キャリアパスにつながる習い事というとどんなものがあるでしょうか?

 例えば、ピアニストになるのであればピアノ教室はキャリアパスになるでしょう。サッカーもそうです。サッカー選手になるのならば、少年サッカーチームはキャリアパスになるといえます。しかし、大多数の方が、プロになったり選手になったりすることはありません。

 一方で、プログラミング教室は、プロとしての社会だけでなく、一般社会で生きる力を育てます。
 しかも、塾での学びと違い、「やらされている学び」ではありません。子どもたちの「好き」「学びたい」という気持ちをモチベーションにして、進路も拓くことができるのです。習い事をきっかけとして、キャリアパスにつなげるということを私たちは実現していきたいと考えており、実際に今ロボ団からそういった子どもたちが出始めているのです。

 これからもより多くの子どもたちの選択肢を広げられるよう、ロボ団は習い事という民間機関だからこそできる教育活動を日本全国へ、そして世界へ広げていきたいと思っています。

 (本連載は、今回で終了となります。)

書籍著者:重見 彰則さん

書籍著者:重見 彰則さん夢見る株式会社代表取締役。1985年兵庫県生まれ。関西大学総合情報学部に入学。卒業後は経営コンサルティング会社で中小企業を支援する業務に従事する。“人”の重要性を痛感し、教育分野での起業を決意し、2012年に夢見る株式会社を設立。「ロボ団」をFC事業で国内外100教室以上を展開。 元のページを表示 ≫

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