肝臓全体の脂肪蓄積を解析する新測定法 東邦大の研究
2019年9月9日 07:51
東邦大学の研究グループは、MRIを用いた、脂肪肝の新しい解析手法を開発した。研究を主導したのは、東邦大学医学部の熊代尚記准教授。
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現在、脂肪肝の罹患人数は日本人で3~4人に1人ほどだと言われている。定義としては、肝臓全体の30%以上を脂肪が占めるのが脂肪肝である。もちろん肥満と関連するのだが、常に連動しているというわけでもなく、特に軽度の脂肪肝の場合、やせ型体型の患者にもまま見られることがある。
初期には自覚症状がほとんどないのだが、インスリン抵抗性や肝線維化の原因となり、糖尿病、肝硬変、肝癌、腎不全などの引き金となる厄介な問題である。
従来の肝臓内脂肪の測定にはいくつかの方法が存在するのだが、いずれも肝臓の一部のみを測定の対象とするというものであった。一部分の脂肪蓄積から、肝臓全体の脂肪蓄積度合いを推測するわけである。特に重要な検査である肝生検でもそれは同じであった。
今回開発されたのは、肝臓内の全ポイントを評価できる新しい肝臓内脂肪の測定法である。Dixon法という撮影技術を使用し、脂肪割合の順に異なった色を付けていき、カラフルかつ立体的な脂肪マップを作成することができる。
この新手法は繰り返して使うことができる上、健康診断、人間ドックなどにも導入することが可能。また、全肝臓脂肪体積や除脂肪肝臓体積などの新しい指標を測定することもできるため、今後の肝臓研究に対して様々な応用が期待できるという。
研究の詳細は、Hepatology Researchに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)