東芝、衣服内の危険物をウォークスルーで検知する技術開発 テロ対策に
2019年9月7日 10:17
東芝は5日、テロ対策向けの高性能電波イメージング技術を開発したことを発表した。衣服の下に隠された危険物を、ウォークスルー方式で検知することができるものだという。
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2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件以来、テロ対策が各所で叫ばれるようになって久しい。米国務省によると、世界でのテロ発生件数そのものは、2007年の1万4,415件をピークに減少傾向にあるにはあるが、2017年にもまだ8,584件のテロ事件が発生。またそもそも、全世界的にセキュリティ対策にコストが投じられ続けていればこその話である。
もっとも一般的でローコストなセキュリティ対策は監視カメラであるのだが、これは衣服の中に凶器が隠されている場合は検出できない。特に高度なセキュリティが要求される航空機などにおいては、検知器と検査員を配備して保安検査場で検査を行っているわけだが、当然のことながら大きなコストを要するものである。
多くの人が利用する公共スペースにおいて、現在空港で行われているようなセキュリティチェックをやるというのは、現実的ではない。そこで、利便性を損なうことなく、かつ的確にテロリストや不審者などを検知することのできる高性能・低コストの検査システムへのニーズは、おのずから高い。
そこで東芝が着目したのは、自動運転などに導入されて高性能化・低コスト化が進んでいる「ミリ波レーダー」である。ミリ波は、衣服を透過し金属を反射し、爆薬などの紛体は吸収する。
この性質を利用し、高性能のイメージングを実現する技術を開発したというわけだ。アンテナを面状に配置し、ミリ波レーダーによる反射信号をとらえてイメージング画像を生成する。
従来の方法だとアンテナを多量に設置しなければならないというコスト面の難点があったのだが、その問題は技術的にクリアされ、アンテナやセンサー、メモリ量は大幅に削減できたという。
東芝は今後、鉄道会社やアミューズメントパークと連携した実証実験を、2020年以降に実施することを目指して開発を進めるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)