アイドリングストップが機能しない その原因を探ってみた
2019年8月29日 08:14
最近のクルマには、環境保護や燃費の向上を積極的に進めるため、アイドリングストップ機能が当たり前のように装備されている。しかし、アイドリングストップは、車両側が一定の要件を満たしていなければ作動しない仕組みになっている。
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当たり前のように、今まで信号待ちでアイドリングストップしていたのに、急に作動しなくなった経験を持っている人は意外と多くいる。これには、何らかの拍子に「エコモード」(車両により呼び名は変わる)のスイッチが切れて作動しない場合もあるが、そのほかにもアイドリングストップには作動要件がある。
要件は、メーカーや車両により少しずつ変わっているが、基本的な制御の考え方は同じ。例えば、水温等が規定温度以下の時にはアイドリングストップは作動しない。
エンジンは、冷却水やエンジンオイルが一定の温度で走行することを想定している。そのため、水温等が適温以下の場合にエンジンがON/OFFを繰り返すと、燃費悪化や排ガス浄化装置が正常に機能しない。それを避けるためアイドリングストップは作動しないよう制御されている。
今までは、夏場で暑い日に走行していたため、比較的早く水温上昇が起こりアイドリングストップの要件を満たすことができたが、秋から冬に向かうにつれて水温上昇に時間がかかるようになり、短時間の走行ではアイドリングストップが作動しなくなる。
このほか、車内の温度を快適に保つために、エアコンの作動状況を左右する外気温や室内の温度も一定の範囲内でなければ、アイドリングストップが機能しない車種もある。例えばダイハツ車の場合、外気温0度以上で冷却水が53度~105度の範囲(NA車)にならなければアイドリングストップは機能しない。
説明書には、作動要件が記載されているため、目を通していない人は一度、取り扱い説明書を確認してみるとよい。しかし、作動要件を満たしていても、機能しないことが起こる。この原因で一番多いのが、バッテリーの劣化である。
アイドリングストップ機能付きの車両は、バッテリー電圧を細かく制御している。車両コンピュータがバッテリーの劣化を少しでも検知すると、再始動失敗を避けるためアイドリングストップの機能を停止させる仕組みだ。
アイドリングストップが作動要件を満たしているにもかかわらず機能しない場合は、バッテリーの劣化を最初に疑ってみることである。ただし昔のクルマであれば、バッテリー交換などたやすいものであったが、最近のクルマはバッテリー交換すると、各制御をリセットさせる必要がある。
このリセットは、バッテリーデータの学習リセットとなるため、各車両に合わせた方法で行う必要がある。車両の中には、新品バッテリーに交換しても古いバッテリーデータが保持されたままとなり、アイドリングストップ機能が停止したままとなるので注意が必要だ。
最近のクルマは、難なくエンジンが始動しても、コンピュータがバッテリーに劣化を認めれば、そのバッテリーではアイドリングストップが機能しなくなることを理解しておく必要がある。勿論、バッテリーは専用品を使用するのは言うまでもない。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)