中国、新車販売下落に歯止めがかからず 前年割れの昨年をさらに下回る
2019年8月25日 20:14
2018年の夏場以降、中国の自動車販売の低迷に歯止めがかからない。中国汽車工業協会(CAAM)の発表によると、7月の中国新車販売台数は、前年同月比4.3%減の181万台だった。6月の約10%減に比べるとやや改善したものの、13カ月連続で前年実績を割り込んだ。つまり7月実績については2年連続前年割れと言うこと。6月は9.6%のマイナス、5月は16.4%のマイナスだった。米中貿易戦争ともいえる経済摩擦による景気減速で、2019年上半期中国新車販売は90年代以来の減少を記録している。
昨年末に、「新車販売は当面低水準で推移すると予想されるが、下げ圧力は1年程度で解消されるとみられる。自動車販売が前年比でプラスに転じるのは2019年半ば」としていた多くの経済アナリストの予想が外れた。
要因は米中貿易摩擦の長期化や中国経済の減速で購買意欲の落ち込みで、ここにきて需要の低迷は長引きそうだとの見方が強まっている。CAAMは、今年暦年の販売台数を下方修正し、前年比5%マイナスの2668台と2年連続の前年割れと予想している。
7月の新車販売は、新しい排ガス規制が導入されるのを前で、買い控えが起きた6月に比べると改善した。しかし、CAAMによると「不動産関連の支出や借金の圧力が強く、自動車購入に大きな影響を与えている。生産や販売が全体的に落ち込む傾向は根本的に変わっていない」などとして厳しい見方をしている。
昨年末の大方のアナリストは、「自動車販売の低迷はガソリン車に集中。この背景として、新エネルギー車(NEV)の拡大を目指す国策で将来的にガソリン車禁止も議論されており、ガソリン車忌避の動きが強まっている。NEVの販売台数は(昨年)11月時点で全体の5%程度だが、前年比62.3%増、10月は73.6%像と高い伸びを示す。NEV志向は中長期的に続くとみられる」としていたが、どうやらNEVの販売も急速に落ち込んでいる。
7月の新車販売の内訳は、8割強を占める乗用車が3.9%減の153万台だった。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車も4.7%減の8万台にとどまった。中国政府が新エネ車への補助金を6月から最大5割程度減らした影響が出たとみられる。
企業別では民間大手の浙江吉利控股集団が24%減。EV最大手の比亜迪(BYD)も17%減と2カ月ぶりにマイナスとなった。欧米系では米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁会社である上海GMが18%減だった。
中国新車販売危機により、中国の2019年自動車販売予測は、前述のように下方修正されている。これまでは、ほとんどのアナリストが、横ばい、または微増と予測していた。しかし、最近では、90年代以来初の販売減少となった2018年の2.8%減に続き、今年の年間販売台数も5%程度減少するという予測がもっぱらである。(編集担当:吉田恒)