本当に良い会社かどうかはこう見極める!【財務はおもしろい~老舗企業の思考から学ぶ、 " 百年続く中小企業経営 " の教科書~】
2019年8月15日 09:36
【第2回】多くの企業・経営者の経営コンサルティングから生み出された「数字を使わず経営を理解するカベヤ式財務のノウハウ」。数字が苦手な人にこそ知ってもらいたい、決算書の数字が読めなくても企業の置かれた状態が簡単に理解できる考え方と老舗企業が100年続く経営の仕組み、財務の考え方から中小企業が永続的に続くための秘訣をお伝えします。
本連載は、書籍『財務はおもしろい 老舗企業の思考から学ぶ、"百年続く中小企業経営"の教科書 (数字を使わずカンタンに理解するカベヤ式』(2019年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
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多くの企業・経営者の経営コンサルティングから生み出された「数字を使わず経営を理解するカベヤ式財務のノウハウ」。数字を極力使わずに、さっと短時間で財務の全体像と重要ポイントを紹介します。数字が苦手な人にこそ知ってもらいたい、決算書の数字が読めなくても企業の置かれた状態が簡単に理解できる考え方をお伝えします。
超感覚思考法で、どの会社が一番良いかがスグに分かる!
皆さんに質問です。
次の①から⑦までの会社の中で一番良い会社はどれでしょうか?
おそらく④、⑤、⑥の会社を選ぶ方はいないと思います。営業CFがマイナスですから、この3社が良くないというのは何となく感覚的に分かるはずです。
では残りの①、②、③、⑦のうち、どの会社が一番良い会社でしょうか?
感覚で考えてみてください。
セミナーなどで参加者に訊くと「③の会社が一番良い会社だと思う」と答える方が一番多いので、まずはこの③の会社を例にとって、この会社が本当に良い会社なのかどうかを考えてみましょう。
③の会社のプラスの数を増やし、右側に例えばこんなイメージかな、という金額も書いてみました(【図・会社の経営状態イメージ①】)。
この会社はどんな会社でしょうか?
このような財務状況の会社があったらどう見えますか?
この会社は本当に良い会社なのでしょうか?
このような財務状況になるとちょっと見え方が変わってくるはずです。感覚でとらえてみてください。パッと見ただけで、「何でこの会社、こんなに投資を売却(解消)しているんだろう?」と思いませんか?
なぜ投資を売却(解消)する必要性があったのかを考えてみるべきです。営業CFはプラスですが、たったの10万円、いわゆる「微黒」(わずかな黒字)です。「もしかしたら過剰投資したのを今精算しているだけではないのか?」または「資産を売らないといけないほど現金がなくなってきているのでは?」などといろいろな見方ができると思います。
こうして見ると、この会社の見え方、見栄えが少し変わってきませんか?
もしかしたら、あまり将来性のない会社かもしれません。これが〝超感覚思考法〟です。感覚で読み取ることが重要なのです。
見た瞬間の「臭い=感覚」を大事に
セミナーで、③の次に多いのが「①の会社が良い会社だ」という意見です。
では先ほどと同じように、①の会社のプラスの数を少し増やして見てみましょう。財務CFのプラスと手許のプラスを増やしてみました(【図・会社の経営状態状態イメージ②】)。
この表を見ると、「おや、この会社はすごく借り入れを増やしているな」「本業の儲けの割に、こんなに借り入れを増やして大丈夫かな?」という気がしませんか?
何か怪しい臭いがします。この臭い=感覚が大事なのです。
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「会社にとって財務とは何か」「会社を永く続けるとは何か」など、健康な会社経営のノウハウや老舗企業が100年続く経営の仕組み、財務の考え方から企業が永続的に続くための秘訣を学ぶことができます。
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財務状況の「現在地」と「目的地」を書いてみよう
会社のゴールを「プラスとマイナス」で書いてみよう
さて、皆さんの会社は①~⑦のうち、どのパターンに当てはまるでしょうか?
実際にプラス、マイナスをつけてみてください。ちなみに日本の会社の約6割は、④、⑤、⑥のいずれかのパターンです。6割の会社の営業CFがマイナスになっていると言われています。
ここで重要なのが、今の状況がどうであれ「これからどんな会社にしたいか」を考えること、ゴールを明確にすることです。
自分たちが望む会社の状態をプラスとマイナスで書いてみてください。プラスをたくさん書いても、マイナスをたくさん書いても構いません。
プラスとマイナスがどういう感じだったら一番望ましいCFになるか? 理想のCFのイメージを〝感覚〟で書いてみてください。〝感覚で〟ということが重要です。論理的に書いても意味がありません。
ここにCFの箱を用意しましたので、自分の理想のキャッシュフローの状況を記載してみてください(【図・理想のCF図】)。
そして、そこに向かって今日から走り出すことが大切です。
ゴールイメージに正解はない!
前述したゴールイメージには正解というものはなく、いろいろなパターンがあって良いのです。
皆さんの各々のゴールがあるはずで、それが正解なのです。
皆さんにやっていただきたいことは、【図・経営状況イメージの現在地と目的地】のように、現在の状況と、こうありたい、という「ゴール」(目的地)のイメージを明確に描くことです。
どういう行動をとれば目的地にたどり着けるのか、現在地から目的地まで行くために、どういうルートを通れば良いのか、ナビゲーションの方法を考えてみてください。このナビゲーションこそが、すなわち「行動計画」「事業計画」です。
会社の数値をこの表に入れ込んでみてください。入れ込めば、すぐにキャッシュフロー計算書(CF)を読むことができます。
ただ、繰り返しになりますが、絶対に営業CFから読んではいけません。ストーリーの始まりは財務CFからです。ストーリーは調達、運用、利益の順番でしか流れませんから、必ずその順番で読む癖を付けてください。(次回へ続く)
書籍著者:壁谷 英薫さん
愛知県出身。一橋大学商学部在学中三年次に公認会計士試験合格。KPMGあずさ監査法人に入社、監査及びコンサルティング業務に従事。 製造業やサービス業の証券取引法(金融商品取引法)監査、会社法監査、米国上場企業の監査に携わる。大手銀行の国際会計基準の合併監査を手掛ける。入社四年目以降は大手商社などのコンサルティング業務に携わる。 2011年 壁谷公認会計士事務所設立。「子供達の目標となる、輝く大人が溢れる世界の実現」をミッションとして掲げ、会社のミッションとビジョンを作成し、ビジョン実現のための戦略作り、体制づくりの経営コンサルティングを会計面、経営面、税務面から提供している。 元のページを表示 ≫